画像:年表、中新世

中新世の生き物

2400万年前頃なると東アジア大陸の端で溝(裂け目)ができ、湖や湿地ができました。その後、裂け目が拡がり、日本列島が分かれて、日本海が形成され、約1500万年前に現在の位置に移動し、日本列島の骨格ができたといえます。現在の日本列島には、日本海の始まりからできあがるまでの地層が残っており、当時の環境を知ることができます。

日本列島が誕生する直前の2400万年〜2000万年前頃の気候は冷涼で、カバノキ科、ニレ科、ブナ科などの落葉広葉樹を主にした冷温帯性の植物化石が産出します。これらはアジア大陸の東の端の植生を示しています。

日本海が拡大し日本列島ができた1800万年〜1500万年前の頃は、日本列島とは言っても、現在とは異なり多くの小島が連なった状況でした。約1600万年前の最も温暖な時期には、東北地方までビカリア、マングローブシジミなどマングローブに棲む貝がいたほど温暖でした。この温暖な時代の植物化石は、常緑広葉樹が多く、ブナ科、クスノキ科、マメ科などが見つかります。

その後、1000万年前の中新世後期には、現在の種類にとてもよく似た植物化石が現われます。現在のブナ林を思わせるようなムカシブナをたくさん含む植物化石群も見つかっています。そして、昆虫化石の中には、日本固有のオオオサムシ亜属が含まれています。この時期に、日本列島固有の生物相ができはじめたと考えられます。

貝化石

  • 画像:ビカリア
    ビカリア
    刺がある.中期中新世.岡山県奈義町.高さ6.7cm.
  • 画像:ビカリエラ
    ビカリエラ
    中期中新世.岡山県奈義町.高さ4.3cm.
  • 画像:マングローブシジミ
    マングローブシジミ
    中期中新世.富山県富山市.長さ4.5cm.
  • 画像:ヨコヤマリュウグウハゴロモ
    ヨコヤマリュウグウハゴロモ
    中期中新世.三重県久居市.長さ11cm.
  • 画像:カケハタアカガイ
    カケハタアカガイ
    中期中新世.岡山県奈義町.長さ5.7cm.
  • 画像:ミエヒタチオビ
    ミエヒタチオビ
    中期中新世.津市美里町.高さ10.5cm.
  • 画像:ウソシジミ
    ウソシジミ
    中期中新世.京都府宇治田原町.長さ2.4cm.

植物化石

  • 画像:メタセコイア(ヒノキ科, 針葉をもつ),ハコヤナギ(ヤナギ科, 基部の側脈が目立つ),ハンノキ(カバノキ科, 羽状脈の葉)の仲間
    メタセコイア(ヒノキ科, 針葉をもつ),ハコヤナギ(ヤナギ科, 基部の側脈が目立つ),ハンノキ(カバノキ科, 羽状脈の葉)の仲間
    葉が密集している.前期中新世.岐阜県可児市.ブロックの幅26cm.
  • 画像:アンティポフブナの葉(ブナ科)
    アンティポフブナの葉(ブナ科)
    現生のブナに比べると大型の葉である.前期中新世.長さ9cm.
  • 画像:ノトショウナンボク(ヒノキ科)
    ノトショウナンボク(ヒノキ科)
    前期中新世末.石川県珠洲市. 長さ1.8cm.
  • 画像:ナウマンヤマモモ(ヤマモモ科)
    ナウマンヤマモモ(ヤマモモ科)
    前期中新世末.石川県珠洲市. 長さ6.2cm.
  • 画像:アケボノシラカシ(ブナ科)
    アケボノシラカシ(ブナ科)
    暖温帯に分布するシラカシに類縁があると考えられる.前期中新世末.石川県珠洲市.長さ7cm.
  • 画像:ノトミジンコザクラの葉(ニシキギ科)
    ノトミジンコザクラの葉(ニシキギ科)
    台湾に現生種が分布.前期中新世末.石川県珠洲市.長さ5.5cm.
  • 画像:ポドゴニウムの一種(マメ科)
    ポドゴニウムの一種(マメ科)
    絶滅属.前期中新世末.石川県珠洲市.長さ2.2cm.
  • 画像:ニレバケヤキ(ニレ科)
    ニレバケヤキ(ニレ科)
    ケヤキに似た大きな鋸歯をもつ.前期中新世末.石川県珠洲市.長さ4cm.
  • 画像:チャンチンモドキの一種(ウルシ科)
    チャンチンモドキの一種(ウルシ科)
    内果皮. 先端部に発芽孔がある.中新世.滋賀県土山町.長さ2cm.
  • 画像:右から,ホンシュウユリノキ(モクレン科),シキシマナラ(ブナ科),ムカシブナ(ブナ科),ムカシイヌカラマツ(マツ科)
    右から,ホンシュウユリノキ(モクレン科),シキシマナラ(ブナ科),ムカシブナ(ブナ科),ムカシイヌカラマツ(マツ科)
    近接していてもこのように保存状態が異なる.ユリノキ属とイヌカラマツ属は現在日本には自生しない.中新世後期.鳥取市佐治町.ブロックの幅35cm.
  • 画像:イヌカラマツの球果の鱗片(マツ科)
    イヌカラマツの球果の鱗片(マツ科)
    イヌカラマツは球果の鱗片が軸からはずれてバラバラになる.中新世後期.鳥取市佐治町.長さ2.8cm.
  • 画像:オオミツバマツ(マツ科)
    オオミツバマツ(マツ科)
    オオミツバマツの球果の産状を示す標本.鱗片の先が刺のように出っ張る.中新世後期.岐阜県多治見市.長さ9cm.
  • 画像:サントウミズキ(ミズキ科)
    サントウミズキ(ミズキ科)
    側脈は葉の先端へ集まるように分布する.中新世後期.鳥取市佐治町.長さ10cm.
  • 画像:サワグルミ属の一種(クルミ科)
    サワグルミ属の一種(クルミ科)
    葉脈が美しく残されている.中新世後期.鳥取市佐治町.長さ9cm.
  • 画像:サンボンスギヤマナラシ(ヤナギ科)
    サンボンスギヤマナラシ(ヤナギ科)
    葉の基部は心形.中新世後期.山形県飯豊町.長さ8.7cm.
  • 画像:ホウキアズキナシ(バラ科)
    ホウキアズキナシ(バラ科)
    大きな歯牙があり,その縁に細かい鋸歯がある.中新世後期.鳥取市佐治町.長さ4.8cm.

昆虫化石

  • 画像:トンボの一種(部分)
    トンボの一種(部分)
    中新世.中国.開張99mm.
  • 画像:トンボの一種
    トンボの一種
    中新世.中国.開張78mm.
  • 画像:ホソミモリトンボ近似種(後翅)
    ホソミモリトンボ近似種(後翅)
    中新世.鳥取県.長さ21mm.
  • 画像:エゾゼミの一種(後翅)
    エゾゼミの一種(後翅)
    中新世.鳥取県.長さ34mm.
  • 画像:タツミトウゲオサムシ(右上翅)
    タツミトウゲオサムシ(右上翅)
    現在でも日本固有であるオオオサムシ亜属の一種.オサムシ類の多くは飛べない.このころにはすでに地域分化が始まっていたことを示す.中新世.鳥取県.長さ17mm.
  • 画像:ムシヒキアブの一種
    ムシヒキアブの一種
    中新世.兵庫県.17mm.
  • 画像:カメムシの一種
    カメムシの一種
    中新世.兵庫県.15mm.
  • 画像:ガガンボの一種
    ガガンボの一種
    中新世.兵庫県.31mm(標本全体の最大幅).

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