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本の紹介「図鑑を見ても名前がわからない」

「図鑑を見ても名前がわからない」須黒達巳著、ベレ出版、2021年12月、ISBN978-4-86064-676-9、2000円+税


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【萩野哲 20220426】【公開用有】
●「図鑑を見ても名前がわからない」須黒達巳著、ベレ出版

 図鑑を見ても名前がわからない!これは何かの分類群の達人でも他の分野では経験したことがあるのではないだろうか?なぜわからないのか?バイオリンに例えてみたら、教本を読んだだけでは弾けないだろう?そうなのか!生物の事例でも、蚊はわかったが、クモやシダはわからない、なんてことあるよね。本書では検索表の問題についても詳しく触れている。使って苦労した人は感覚が共有できるだろう。まずは名前を知りたい。そのためには絵合わせはダメ。解説をよく読むこと。できれば自分でスケッチしたり表をつくったり標本をつくったりするのが記憶に残る。本物の観察、観察、観察で目を作り、レベルを上げること。その先でやっと「落とす」ことができるのだ。やっぱり。

 お薦め度:★★★  対象:同定作業にも王道はありませんよということを確認したい人 知りたい人
【森住奈穂 20220505】
●「図鑑を見ても名前がわからない」須黒達巳著、ベレ出版

 名前を知ると生活が豊かになる。クモ→アダンソンハエトリグモ。「アダンちゃん、おはよう、今日も元気そうやね」。小鳥→シジュウカラ。「ジジジジって集合かけてんの?なんで?」など、格段に親しみが生まれる(一方的やけど)。だから名前を知りたい。だけど図鑑やネットを見ても確信が持てない。タバコガ?の一種?「タバちゃん…?」この「?」が気持ち悪い。くっきりハッキリ知りたい。そこにこの本が登場。しかし、さらなる迷宮への闇が大きく口を開けていたのであった。端的に言えば「ハマる」ことが一番。近道はなかった。

 お薦め度:★★★  対象:プロが導く同定方法に触れてみたいひと 知りたい人
【和田岳 20220506】
●「図鑑を見ても名前がわからない」須黒達巳著、ベレ出版

 『ハエトリグモハンドブック』の著者が、図鑑で名前を調べられるようになる道を、体験的に伝授してくれる。イントロから判りやすい。バイオリン買っても、教本を丸暗記しても、バイオリンが弾ける訳じゃないですよね?バイオリンを弾く腕前を磨かないと。図鑑もそれと一緒。
 という訳で、対象生物の形を見分ける目を養わないと、図鑑を使えるようにならない。という説明が第1章。第2章では、目をつくるプロセスを体験。図と言葉で知識をインプットして、実際にサンプルを観察。観察対象の特徴を見出す作業をしてみる。ここまでで基本の伝授は終わりといえば終わり。あとは実践あるのみ。けっこうスパルタ。
 第3章では、著者自身が、まるで知識のないシダの同定に挑む。 第4章では、ある程度、判るような気がしてから落ち込む罠。種内変異について。「違いに気づく目と、共通点に気づく目」。

 お薦め度:★★★  対象:図鑑を使う人 知りたい人
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