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本の紹介「野生のチューリップ」

「野生のチューリップ」前嶋昭著、福音館書店たくさんのふしぎ2017年5月号、667円+税


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【西村寿雄 20170814】【公開用】
●「野生のチューリップ」前嶋昭著、福音館書店たくさんのふしぎ2017年5月号

 多様な栽培種にあふれているチューリップの原産地を求めて、著者は中央アジアの高地に出向いた。標高900mの砂漠地帯、岩場の斜面に野生のチューリップが見える。これが野生種かと思えるほどカラフルな大輪が咲いている。もちろんタンポポと見間違えそうな小さな花の種もある。著者はさらに天山山脈の西へ向かう。なんと乾燥しきった荒れ地に鮮やかな赤や黄色の花園が出迎える。現地でのチューリップは種ができても花を咲かせる球根に育つのに10年以上はかかるという。1000万年余の命を受け継ぎ、今も荒野の寒冷地でたくましく育つチューリップ、10年の歳月をかけて太陽エネルギーを蓄えてきた野生植物の美しさと力強さに感服させられる。

 お薦め度:★★★★  対象:野生植物の力を感じたい人


【冨永則子 20170611】
●「野生のチューリップ」前嶋昭著、福音館書店たくさんのふしぎ2017年5月号

 小さな子から大人まで「花の絵を描いてください」と言われると、先ず間違いなく描くのがチューリップではないだろうか。著者は園芸種であるチューリップの原種に出会うためカザフスタンの天山山脈に向かう。そこに咲くチューリップたちは過酷な環境の中で花を咲かせていた。一枚の葉を広げ、球根に栄養を送り、気温の高い夏は葉を枯らし、地下の球根だけで休眠し、また春になると葉を広げる。それを毎年繰り返して、花を咲かせるようになるまでには10年以上もかかると知って驚いた。春の花壇を美しく飾るチューリップは身近な花の一つだが、遠くの高い山の上で原種となったチューリップたちが咲いてることも思い浮かべてみたい。

 お薦め度:★★★  対象:子どもから大人まで。チューリップを知っている全ての人に


【西本由佳 20170820】
●「野生のチューリップ」前嶋昭著、福音館書店たくさんのふしぎ2017年5月号

 園芸品種としてしか接することのないチューリップにも、あたりまえだが原種は存在する。大きな花や厚いはっぱにもちゃんと役割がある。生きものがその姿をしているのには背景があって、生まれた土地ときりはなして見たのでは、わからないことがある。本来の生息地、天山山脈の斜面に咲くようすは花壇で見るよりずっときれい。

 お薦め度:★★★  対象:ふだんチューリップを気にもとめないような人


【森住奈穂 20170824】
●「野生のチューリップ」前嶋昭著、福音館書店たくさんのふしぎ2017年5月号

 春、花壇で見かけるチューリップ。色も形もさまざまで可愛らしい。太い茎、分厚い葉、鮮やかな花びら、というチューリップの特徴は、生れ故郷である中央アジアの乾燥した気候を生き抜くためのものだった。カザフスタンを訪ねた著者は、夏の乾燥、冬の積雪に耐え、種から10年かけて花を咲かせる野生のチューリップと出会う。「可愛いい」だけじゃない、「力強さ」「たくましさ」がチューリップの知られざる魅力。チューリップの新たな一面に出会うことができる。

 お薦め度:★★★  対象:花はかよわいものだと思っているひと


【和田岳 20170704】
●「野生のチューリップ」前嶋昭著、福音館書店たくさんのふしぎ2017年5月号

 カザフスタンに野生のチューリップに出会うために出かける。園芸品種にまけないくらい、赤や黄色が鮮やかな野生のチューリップが登場する。というか、風景とチューリップの写真ばかりで構成されている。
 冬は寒く、春以外は乾燥した厳しい環境で、タネから何年もかけて育つ野生のチューリップ。花壇に植えられる栽培品種のチューリップとは少し違う。でも、その姿はやっぱりチューリップ。チューリップと風景はとても綺麗。

 お薦め度:★★  対象:園芸植物のふるさとでの姿が知りたい人


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