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本の紹介「私たちは人新世に生きているのか」
「私たちは人新世に生きているのか 地層が語る真実」加三千宣著、化学同人、2026年3月、ISBN978-4-7598-2179-6、1700円+税
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【中条武司 20260827】【公開用】
●「私たちは人新世に生きているのか」加三千宣著、化学同人
人間活動が地球環境に大きな影響を与えてきた時代を「人新世」と呼ぶことが提唱されている。地質時代を新しく定めるには基準となる地層(模式地)が必要なのだが、筆者は別府湾を人新世の模式地とするプロジェクトを推進してきた人である。その別府湾の研究成果を中心に、人新世とはどんな時代か、何を持って人新世とするのかが語られている。マイクロプラスチックや球状炭化粒子(スス)、核実験によるプルトニウムなどの明らかに人為的なものから、花粉、珪藻をはじめとした微化石などが、いつどのように変化したことで、いつから人新世がはじまったのかを調べていく。最終的には模式層候補地としてはカナダのクローフォード湖になるのだが、別府湾も標準補助境界模式層として審査の俎上にあげられた。結局は人新世という時代は否決されて決まらなかったのだが、地層中に残された様々な人為による痕跡を集積した点だけでも、この人新世の提案は無駄ではなかったのだろう。
お薦め度:★★ 対象:地質学的な人新世とは何かを知りたい人
【西村寿雄 20260815】
●「私たちは人新世に生きているのか」加三千宣著、化学同人
最近「人新世」とよく言われる。しかし、正式には「国際地質科学連合」では承認されていない。今は地質年代でいうと「第四紀?完新世」ということになる。しかし、この本では、今の時代は「完新世」の中でも「人新世」と呼ばれる時代に来ていることを訴えている。問題は、今ひとつ科学的根拠が足りないことで、著者たちは別府湾深海の地層の堆積物を調べ、放射性核種やマイクロプラスチックなど人為的なものがいつごろから増えたか詳細に調べている。核への恐怖、温暖化なども考慮するともうすでに「人新世」は始まっていると言っている。
お薦め度:★★★ 対象:地質年代表記に関心ある人
【森住奈穂 20260828】
●「私たちは人新世に生きているのか」加三千宣著、化学同人
今年の夏も異常な暑さだ。これだけ急な地球温暖化を体感すると、現代を「人新世」と呼ぶことに違和感はない。ただし、人新世は地質年代としては認められていない。認定されるには、新たな年代の始まりが地層中に定義されなければならないとのこと。本書は別府湾の堆積物研究を通じて、別府湾を人新世のGSSP(国際境界模式層断面とポイント)にすべく奔走した記録である。別府湾に年縞があることや瓜生島伝説などは興味深く読めたが、温暖化はもはや止められず、5年後には氷床融解が止まらなくなるという記述には絶望を感じた。
お薦め度:★★★ 対象:地質学としての人新世について知りたいひと
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