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本の紹介「ツキノワグマ」

「ツキノワグマ クマと森の生物学」大井徹著、東海大学出版会、2009年11月、ISBN978-4-486-01854-4、3200円+税


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【釋知恵子 20110421】【公開用】
●「ツキノワグマ」大井徹著、東海大学出版会

 ツキノワグマをはじめとしてクマの基本情報がばっちり載った一冊。クマが越冬に必要なエネルギーを得るためには、秋の間にブナの実なら約57万粒食べないといけないとか、今まで漠然としていたクマ情報が、具体的に事細かに表現されており、クマ辞典としてはいいなあと思った。クマ辞典と感じたのは、これを書いた人はどんな人なのか、クマについての著者の関わり度合いが今一つ感じられなかったからかもしれない。著者の匂いをもう少し感じさせてほしかった。

 お薦め度:★★★  対象:クマってどんな生き物なのかを知りたい人に

【和田岳 20101217】
●「ツキノワグマ」大井徹著、東海大学出版会

 ツキノワグマを中心に、クマの分類、形態、進化、食性、冬眠、繁殖。最後にはクマとの共存まで。長年クマに関わってきた著者が、クマのさまざまな側面を紹介してくれる一冊。里へのクマの大量出没が話題になる昨今、クマについて語る前に、クマについてお勉強しておくなら、お薦め。
 もちろん、里へのクマの大量出没についてのコメントもある。が、この本が執筆されたのは2009年なので、2010年に問題になった。山へのドングリの大量ばらまきの問題についての話はない。
 90ページにある図を見ると、クマの有害捕獲は21世紀に入って、急に増えている。ドングリの不作だけでは説明できそうにない。じゃあ何が問題? その答えはないが、ヒントはこの本の中にあるかもしれない。

 お薦め度:★★★  対象:クマとの付き合い方を考えてみたい方、その最初の一冊に

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