友の会読書サークルBooks
本の紹介「ツキノワグマのすべて」
「ツキノワグマのすべて」小池伸介著・澤井俊彦写真、文一総合出版、2020年4月、ISBN978-4-8299-7232-8、1800円+税
【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]
【西本由佳 20251214】【公開用】
●「ツキノワグマのすべて」小池伸介著・澤井俊彦写真、文一総合出版
タイトルのとおり、ツキノワグマについて身体・生活・フィールドサインから始まり、Q&A形式で疑問に思うようなことがコンパクトに紹介されている。シンプルなグラフとかわいいイラスト、そして何より写真がとてもいい。説明がわかりやすくなるだけでなく、ツキノワグマはこんなところに暮らしているんだ、こんなにきれいな獣なんだ、とちょっと感動する。日本にこんな大きな野生動物がまだいることがすごいことだと思える。不幸な出会いがなくなり、すみわけて共存できることを祈りたくなる。
お薦め度:★★★ 対象:ツキノワグマってどんな生きものなんだろうと思ったら
【里井敬 20251218】
●「ツキノワグマのすべて」小池伸介著・澤井俊彦写真、文一総合出版
ツキノワグマは山の奥深くで暮らしています。春は果実や新芽を食べますが、夏はぐんと減り、秋に冬眠に備えて大量のドングリを食べます。秋はオスもメスも冬眠の為に脂肪を貯めこむのに忙しいので、受精は夏に行われて11〜12月まで着床遅延させ、1〜2月に300gぐらいで子熊は生まれます。母熊は冬眠中に自身は食べずに高栄養の母乳を与え、子は春に2〜3kgにまで成長します。1年半親子は共に過ごし、二年目の夏前に子別れします。野生では20年を超えて生きることはまれと考えられています。森の中でツキノワグマと出会うことはほとんどありませんが、見通しや風通しの悪い場所で出会い頭に接触してしまったり、母熊が子熊を守ろうとして攻撃を受けてしまうことがあります。日本に実際に何頭のツキノワグマが生息しているかは分かっていません。四国では絶滅の危機にあるといわれています。
お薦め度:★★★ 対象:熊のことをもっと知りたい人
【冨永則子 20251218】
●「ツキノワグマのすべて」小池伸介著・澤井俊彦写真、文一総合出版
今年(2025年)は過去最悪の熊被害が発生している。しかも、その現場の多くが人間の生活圏に極めて近い場所だ。警戒心の強いはずの熊がなぜ?その“なぜ”を考えるためにも、まず相手をよく知ってみよう!
本書は、ツキノワグマの身体、生活、フィールドサインについて、沢山の写真で紹介している。すべてフルカラーで写真集としても見応えがある。また、ツキノワグマの生態についてQ&A方式で解説してあり読みやすい。なぜツキノワグマが長い冬眠期間を経ても筋力が落ちたり、骨粗鬆症になることなく直ぐに活動できるのか? 他にも受精卵の着床遅延とか、そうなんだぁと思うことがいっぱいあった。
熊被害は無いに越したことはないが、本書の冒頭で著者が言うように『小さく、極めて人口密度が高い島々に、この漆黒姿の大きな獣が悠久の時を経て暮らし続けているということを誇らしく思うし、これからも日本の森に存在し続けて欲しいと強く願っている』。
お薦め度:★★★★ 対象:日本に存在する猛獣について知りたいヒトに
【萩野哲 20251213】
●「ツキノワグマのすべて」小池伸介著・澤井俊彦写真、文一総合出版
表題通り、ツキノワグマのすべてがこの小さな本に分かりやすい図や写真と共に収められている。ツキノワグマは木登りに適応し、肩から肘が長く、肩甲骨や肩回りの筋肉が発達し、前足の肉球の表面が広い。また、植物食に適応した平たい臼歯の歯冠は植物質を砕く。全身ほぼ黒いが、月の輪に個性がある。五感の中では嗅覚が最も優れる。学習・記憶能力も大変優れている。野生では20年以上生きることは稀らしいが、3-4歳で繁殖開始し、数年おきに15歳ぐらいまで1-2頭の子を産む。日本全体では増加傾向である。とはいえ、個体数の推定法は確立していない。毎年冬季に数か月以上行う冬眠もかなり独特で、窒素の循環などで筋肉も落ちず、ホルモン分泌で骨の強度低下を防いでいる。ただ、今年特にニュースになっているクマの被害についてはほとんどページが割かれていない。しかし、著者が前書きに記したように、小さく極めて人口密度が高い島々に、この漆黒姿の大きな獣が存在し続けてほしい、と思う。
お薦め度:★★★ 対象:ツキノワグマとはどのような動物か知りたい人
【森住奈穂 20251219】
●「ツキノワグマのすべて」小池伸介著・澤井俊彦写真、文一総合出版
副題は「森と生きる。」。アーバンベアと呼ばれる町に出没するクマが話題だが、本書は人間とかかわるツキノワグマの姿には敢えて触れず、野生の姿を写し取った写真が中心の構成である。厳しい自然のなか、木の実や草などを探して食べている様子に、あの体格をよく維持できるものだ、いつもお腹が減ってるのかな、など心配になってしまう。行動範囲の広さにもびっくりした。成獣オスでは100〜200平方キロにもなるという。食物が不足した年は特に広くなるそうだ。クマとの共存が大きな課題となる現在、先ずはその生態を詳しく知らなければ、と強く感じる。
お薦め度:★★★ 対象:ツキノワグマの暮らす様子をのぞいてみたいひと
【和田岳 20251219】
●「ツキノワグマのすべて」小池伸介著・澤井俊彦写真、文一総合出版
ツキノワグマ研究者による画像多めのツキノワグマ紹介本。形態。実物大の足の裏と、さまざまな月ノ輪模様。生活。一生、一年、一日の暮らしを紹介した後、食性、行動圏、子別れ。バイオロギングで撮影された様々な画像付き。フィールドサイン。足跡、糞、食痕、クマ剥ぎ、爪跡、冬眠穴。さまざまなフィールドサインがたくさんの画像で紹介される。最後はQ&A形式で18問。ツキノワグマの分布、系統、天敵、スピード、人を襲う、放射性物質汚染、性成熟、冬眠中の筋肉維持・骨粗鬆症、着床遅延、四国のクマの現状、個体数、心拍数、摂食量、死因、祖先、世界のクマ。ツキノワグマのさまざまな側面が判る内容がコンパクトにまとまっている。
各地で市街地にクマが出現し、人が襲われる事件が毎日のように報道される昨今。2020年の出版なので、そういう事態にはなっていない。それでも、どういう場合に人が襲われるかといった説明は参考になる。
お薦め度:★★★ 対象:クマが気になる人
[トップページ][本の紹介][会合の記録]