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本の紹介「鳥肉以上、鳥学未満。」

「鳥肉以上、鳥学未満。」川上和人著、岩波書店、2019年2月、ISBN978-4-00-006317-3、1500円+税

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【萩野哲 20190317】【公開用】
●「鳥肉以上、鳥学未満。」川上和人著、岩波書店

 この鳥類学者、かなりふざけている。鳥と何の関係もない自分の博識をそこら中に散りばめるので、それらの博識範囲が相当重なる人には面白いだろうが、ほとんど重ならない人には意味不明な内容の本に仕上がっている。私もほぼ後者に属するので、読むのに大変苦労した。まじめな鳥の話はまるでささみの繊維のように間に挟まっているように感じた。それでも、用語の誤用(スーパーマーケットをスーパーと短縮するp.12、ウサギ跳びはスズメ跳びp.86など)にかみつく箇所は首肯できる。また、嘘を書いておいてすぐに嘘だとバラす部分(ささみの説明p.21など)や、どう考えても嘘の部分は、本に書いてあることをすぐに信じてしまう私のような者には、大いに反省を促してくれた。ということで、鳥肉についても鳥学についてもほとんど記憶に残っていない(まさか、これが著者のねらいか?)。

 お薦め度:★★★  対象:謎解きが大好きな人
【和田岳 20190423】【公開用】
●「鳥肉以上、鳥学未満。」川上和人著、岩波書店

 食材として身近なニワトリを題材に、鳥類の形態の特徴を順に紹介していく。取り上げられるのは、胸肉、ささみ、手羽元、手羽中、手羽端、モモ肉、スネ肉、モミジ、鶏ガラ(胸骨と叉骨)、レバー、ハツ、砂肝と内臓、ボンジリ、鶏皮、セセリ、頭と舌、そして最後は卵。
 キジ科鳥類の肉が白っぽいわけ、海鳥によくある脛骨の突起が何かとか、ヤツガシラの尾脂腺分泌物は臭いとか、アリやミミズにもそのうがあるとか、蘊蓄が盛りだくさん。
 ただ、例の川上節が延々と続く。アニメが全然判らない人はとても読みにくいだろう。最低限ファーストガンダムを見て、デビルマンを読んでから読むべき。

 お薦め度:★★★  対象:川上節に耐えられる鳥好き
【西本由佳 20190421】
●「鳥肉以上、鳥学未満。」川上和人著、岩波書店

 ニワトリから得られる食材を通して、鳥の形態について解説する本。ひたすら肉と骨の話が続く。書き方はあいかわらず、著者の雑学がふんだんに投入され、フィクションとノンフィクションが混在して油断できない。身近な食材である鶏肉から、これだけ解剖学の話ができるのはすごいなあと思う。同時に、こんな細かな部位まですべて食材としてしまう人間の食欲は少しこわくなる。

 お薦め度:★★★  対象:鶏肉が好きな人
【森住奈穂 20190225】
●「鳥肉以上、鳥学未満。」川上和人著、岩波書店

 私たちの食卓にのぼる肉といえば、牛、豚、トリ。このうちトリすなわちニワトリは、内臓から足までさまざまな部位が原形を留めて売られている。これは鳥学のアドバンテージ。しかし、ニワトリは家禽として品種改良されてきた鳥類の異端児。これが鳥類学者のジレンマ。この二つを念頭に置きつつ、パーツごとの特徴から鳥類の進化や生態に迫る。胸肉、ささみ、手羽元手羽中手羽端、モモ肉、スネ肉、モミジ、トリガラ、レバー、ハツ、砂肝、ボンジリ、鳥皮、セセリ、頭(アヒル)、卵。博物館にも引けを取らない無限の情報と、長い長い進化の歴史が、私たちに見出されるのをお皿の上で待っているそうである。お腹が空くなぁ。相変わらず雑学への脱線のクセがすごい。それもネタのうち?焼き鳥屋さんでじっくり向き合いたい。

 お薦め度:★★★  対象:鳥肉好きなひと
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