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本の紹介「鳥はなぜ集まる」

「鳥はなぜ集まる」上田恵介著、東京化学同人、ISBN4-8079-1250-X、1300円+税


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【瀧端真理子 20020817】
●「鳥はなぜ集まる」上田恵介著、東京化学同人

 本書は日本野鳥の会の機関誌『野鳥』の連載記事(1985〜87年)を加筆集成したもので、鳥の群れ行動が社会生物学の立場から説明されている。巻末にあげられた100本以上に及ぶ欧文引用文献が示すように、1988年までの研究の最前線が、やさしい語り口で紹介されている。竹井秀男氏の少し癖のあるイラストの数々も、ページをめくる楽しみの一つだ。
 ねぐら、群れ採食、共同防衛、モビング、群れの中の順位、混群などが豊富な具体例で説明されている。個々の話題は楽しいが、全貌を理解するのはやや難。

 お薦め度:★★  対象:進化に興味のあるバードウォッチャー

【寺島久雄 20040207】
●「鳥はなぜ集まる」上田恵介著、東京化学同人

 集まることはそれぞれの種の繁殖、採餌、保身に応じて、群れが同種のものでだったり、混群だったりすることで効果を上げて、種社会を形成している。
 集まる事で、捕食者に対する防御、餌の採取、コロニーの形成に当たり鳥たちの講堂を調査、研究して、鳥社会の生態を述べている。
 人間についてもなぜ集まるかを考え、対比して読んでみるのも面白い。

 お薦め度:★★  対象:バードウオッチングをする人に

【六車恭子 20031218】
●「鳥はなぜ集まる」上田恵介著、東京化学同人

 ツバメは河原のヨシ原などで、カラスは竹やぶや御陵で、スズメは大通りの1本の樹上で・・・。塒の群れやタカの渡りは季節の風物詩として私たちを楽しませてくれる。この本では「何故群れるか?」を海外の文献も屈指して社会生物学の知見から解き明かしてくれる。
 最強の敵の脅威の前でのモビングは攻撃と逃避の間にある、敵の出方を引き出す行動様式でもあるようだ。群れは弱い小鳥たちの最良の保身術として進化してきた。そして編み出された「混群」は彼らの学習の場となり、「追い出し効果」で餌にもありつけ、複数の目を持つことで危険を回避できるチャンスがある等など、鳥たちの処世術も侮れない。鳥観察のもう一つの目を獲得すること受け合いです。

 お薦め度:★★★  対象:鳥好きなら誰でも

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