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本の紹介「鉄学」

「鉄学 137億年の宇宙誌」宮本英昭・橘省吾・横山広美著、岩波科学ライブラリー、2009年8月、ISBN978-4-00-029561-1、1200円+税


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【中条武司 20100225】【公開用】
●「鉄学」宮本英昭・橘省吾・横山広美著、岩波科学ライブラリー

 地球は鉄に満ちている、そして鉄を考えると地球の歴史、それだけでなく宇宙の歴史も知ることができる、という本書。「鉄」というキーワードを元に、「鉄」が私たちの生活、生物活動、地球や太陽系の創世、そして宇宙の歴史までをも知ることができるという刺激的な内容。
 ・・・のはずなのに、このつまらなさは何?読者を置いてけぼりな専門用語や解説。知りたい、と思うところをはぐらかす内容。少ない図表。著者のこれを書きたい、という思いは伝わってきても、これを読んで欲しい、という思いは伝わらない。同じ内容で違う本を読んでみたい。

 お薦め度:★★  対象:「鉄」って重要なんだなと知りたい人

【西村寿雄 20100223】【公開用】
●「鉄学」宮本英昭・橘省吾・横山広美著、岩波科学ライブラリー

 私たちが日常的に目にする鉄は製品化された〈鉄〉である。鉄のおかげで数々の機器や建築物を手にすることができる。しかし、私たち人間の生命を司っているのも〈鉄〉、この宇宙から数々の紫外線を守っているのも〈鉄〉、大型生物が誕生した仕掛け人も〈鉄〉。鉄は生命誕生と地球誕生の担い手であることを説きほぐしていく。やがて、鉄は宇宙のどこでどのようにして生まれてきたのか、壮大な謎にこの本はせまっている。まさに137億年の宇宙誌である。

 お薦め度:★★★  対象:宇宙や生命のなぞ解きの好きな中学生以上

【魚住敏治 20100223】
●「鉄学」宮本英昭・橘省吾・横山広美著、岩波科学ライブラリー

 鉄をキーワードとして宇宙の進化を現代から過去へさかのぼってながめることができます。ただ、なにせ137億年のながさを100ページほどのボリュームで書かれているので、一つ一つのことばの概念が理解できていないと話の内容がわかりにくい気がします。逆によくわかっている人にとっては、もう少しつっこんだ話をしてほしいと思えるのではないでしょうか。

 お薦め度:★★  対象:ざっと宇宙の歴史をながめたい方

【萩野哲 20100211】
●「鉄学」宮本英昭・橘省吾・横山広美著、岩波科学ライブラリー

 本書は、鉄が私たち人類にどのように利用されてきたかから説き起こし、どのような役に立っている(いやむしろ鉄がない地球や生命の成り立ちは考えられない)、どのようにして生成したかを語っている。特に詳しいのは宇宙における鉄の起源であり、近接連星系および太陽質量の12倍以上の恒星において、より質量の小さな原子からどのようにして鉄が生成するかそのレシピが語られる。一方、役立ちのほうは結果の簡単な説明にとどまり、その理由の解説が端折られているのがやや残念である。地球のように磁場がある星に住む我々にはそれが常識であるが、磁場のない星も多いことが本書で知ることができるのも興味深い。

 お薦め度:★★★  対象:身体的にも知識的にも鉄不足の人

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