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本の紹介「タネはどこからきたか?」

「タネはどこからきたか?」鷲谷いづみ著・埴沙萠写真、山と渓谷社、2002年3月、ISBN4-635-06337-2、1600円+税


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【村山涼二 20030223】【公開用】
●「タネはどこからきたか?」鷲谷いづみ著・埴沙萠写真、山と渓谷社

 地面に根を張って動けない植物も、タネのときだけは冒険が出来る。はじける、風に乗って、水に流れ、くっつき、動物、アリ、時には渡り鳥にのって地球規模で移動する。
 タネは、芽生えに適した環境・タイミングを慎重に選ぶ。春の芽生え。秋に根を出しても葉は冬を越してから。芽生えて冬はロゼットで越す。「すき間」が出来たら芽生え。時には数百年の眠りから覚めての芽生え。
 タネの寿命は永い。土壌に蓄えられたタネ「シードバンク」からの芽生えは、時には、既に消失していた植物まで復活してくる「宝さがし」の楽しみがある。しかも素晴らしい写真がいっぱい!
 
 お薦め度:★★★  対象:小学生から大人まで

【瀧端真理子 20030209】
●「タネはどこからきたか?」鷲谷いづみ著・埴沙萠写真、山と渓谷社

 埴さんたちの芸術的な写真と、鷲谷さんの丁寧な解説がいざなう種子散布の世界。タネが運ばれるしくみ、芽生えのタイミング、シードバンクの紹介、の3部構成になっている。ヤマフジの莢がはじける瞬間や、ミズバショウのタネの追跡などは、撮影の苦労がしのばれる。ネズミが貯めこんだ栗、コスミレの樹上の花束、ハマシオンの発芽など見ていて楽しい写真も盛りだくさん。解説は、タネの飛ぶ距離を新聞紙を敷きつめて計る実験や、シードバンクの中のタネを調べる方法などに触れ、種子散布研究はとても根気がいることをさりげなく伝えている。それでも、読めば身のまわりに見かけるタネと、風や水や動物たちとのかかわりに足をとめてみたくなる、おすすめの一冊。
 
 お薦め度:★★★★  対象:植物ファン

【中条武司 20030219】
●「タネはどこからきたか?」鷲谷いづみ著・埴沙萠写真、山と渓谷社

 植物がどのように種をまき、どのような仕組みで芽生えるかを、きれいな写真とやさしい説明で綴った大人向きの写真集。この本を読めば、タネが様々な戦略をもって散布され、芽生えているのがよくわかる。宝探しゲーム(土壌シードバンクの調査)は自分でもぜひやってみたいと思わせる。
 もっとも、きれいな写真に対して、説明がやさしいとはいえ完全に大人向き。本文の説明と写真が対応していない部分があって、完全に対応していればもっと読みやすくなると思う。平易なタイトルときれいな写真に惑わされて、子供向きと思って買ったらえらい目にあうのでは。
 
 お薦め度:★★★  対象:タネ・芽生えのきれいな写真とやさしい説明を読みたい大人

【村山涼二 20030207】
●「タネはどこからきたか?」鷲谷いづみ著・埴沙萠写真、山と渓谷社

 埴さんは「あーっと思うモノがアートだ」と言っているが、そんな素晴らしい写真がいっぱい。それに、鷲谷さんの永い植物とのつきあいの中から、「タネや芽生えの身になっての解説」。タネや芽生えに声援を送りたくなる本です。
 地面に根を張って動けない植物も、タネのときだけは冒険が出来る。はじける、風に乗って、水に流れ、くっつき、動物、アリ、時には渡り鳥にのって地球規模で移動する。
 タネは、芽生えに適した環境・タイミングを慎重に選ぶ。春の芽生え。秋に根を出しても葉は冬を越してから。芽生えて冬はロゼットで越す。「すき間」が出来たら芽生え。時には数百年の眠りから覚めての芽生え。
 タネの寿命は永い。土壌に蓄えられたタネ「シードバンク」からの芽生えは、時には、既に消失していた植物まで復活してくる「宝さがし」の楽しみがある。
 
 お薦め度:★★★  対象:小学生から大人まで

【六車恭子 20030219】
●「タネはどこからきたか?」鷲谷いづみ著・埴沙萠写真、山と渓谷社

 「あーっと思うモノがアートなのだ」と呪文のように自然界の不思議にカメラアングルをあてた写真家のシャープな映像の挑発。そして限り無く平易なことばで植物のタネが進化の過程で獲得したたくらみにせまる学問界の知性が答える力業を感じる。
 小さなタネからかれらの冒険の旅へ、「はじける」「風にのって」「水に流れる」、あるいは鳥や動物やアリに運ばれるタネの戦術のひとつひとつが埴さんをしてシャッターをおさせた秘密にいたる扉だったのか。
 そして土壌シードバンクの長い眠りから目覚めるタネの芽生えのみずみずしさを金剛石の輝きのようにとらえた表紙に乾杯。
 
 お薦め度:★★★★  対象:自然に興味を持ちはじめた自然愛好家たちに

【和田岳 20020221】
●「タネはどこからきたか?」鷲谷いづみ著・埴沙萠写真、山と渓谷社

 美しい写真を交えて、種子散布、種子の発芽条件、シードバンクについて解説した本。写真はかなり凝ったもので、さりげないショットにもかなりの時間と手間がかかっていることがうかがえる。
 写真だけでなく、文章もまたとてもしっかりした内容。大人向けのやさしい文章ながらも、専門的になりすぎない範囲で、同時に植物の都合を充分に解説している。とっつきやすく、中身は濃い。土壌シードバンクの調べ方のところでは、自分でもやってみたら楽しそう、と思わせる。
 
 お薦め度:★★★★  対象:生きものが好きなひと、植物好きにはぜひ

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