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本の紹介「旅をする蝶 アサギマダラ」

「旅をする蝶 アサギマダラ」宮武頼夫・福田晴夫・金沢至編著、むし社、2003年9月、ISBN4-943955-36-3、2800円+税


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【六車恭子 20040816】
●「旅をする蝶 アサギマダラ」宮武頼夫・福田晴夫・金沢至編著、むし社

 1980年鹿児島で始まったアサギマダラのマーキング作戦に呼応して、故・日浦勇氏は1983年「大阪のアサギマダラを調べる会」を発足。この本はアサギマダラに魅了された人々がそれ以来蓄積してきた「アサギマダラのすべて」を盛り込もうとして編まれたようだ。
 南西諸島に発生した蝶が春から日本列島を北上し、秋にはまた南下する。鳥の渡りのシーズンと呼応するようだ。あの小さな体のどこにそんなパワーが秘められているのか?温暖化のせいか、食草を開拓したからか、彼らの渡りには種の保存という至上命令があるからとも、様々な説が盛り込まれて尽きない。多数の人々の共同執筆なので重複するところもあるが、アサギマダラの最前線の情報を伝える一冊だろう。

 お薦め度:★★  対象:何かを通して歴史や命の不思議を感じてみたい人

【和田岳 20040227】
●「旅をする蝶 アサギマダラ」宮武頼夫・福田晴夫・金沢至編著、むし社

 渡りといえば渡り鳥、でも昆虫の中にも渡りをするものがいます。とくに日本では、アサギマダラの渡りがよく調べられています。この本は、多くの人が参加して、長年にわたって続いているアサギマダラのマーキング調査を紹介したもの。
 マーキングの仕方と調査参加者の体験談からはじまって、アサギマダラの一般生態、標識調査の成果、そして日本各地のアサギマダラの生息情報とマーキング調査の現状が紹介されます。マーキング調査によって明らかになったアサギマダラの渡りは興味深いが、本の内容の大部分はよほどアサギマダラに興味のある人以外にはあまりおもしろくない。むしろアサギマダラのマーキング調査に熱中する人達を愛でる本というべきか。なんせ一年間に1000頭以上のアサギマダラにマーキングする人がいるんだから。

 お薦め度:★★  対象:アサギマダラの標識調査に参加しているor参加してみたい人、またはアサギマダラにのめり込んでいる人たちに興味のある人

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