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本の紹介「砂と人類」

「砂と人類」ヴィンス・バイザー著、草思社、2020年3月、ISBN978-4-7942-2444-6、2400円+税

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【西村寿雄 20200614】
●「砂と人類」ヴィンス・バイザー著、草思社

 ふだんなにげなく見ている砂、どこにでもある砂、その砂に注目してみるとことによって、砂の重要さが蘇ってくる本である。砂はいってみれば石英の粒、無尽蔵にあると思っていたがもうそういう時ではなさそうだ。考えてみればあらゆるところで砂は使われている。各地で都市化が進む現代社会ではコンクリート建築物を初め、道路や整地工事で大量の砂を使う。それだけではない。身近なガラス類やレンズ、シリコンチップにも良質の砂が使われていている。ますます砂の需要が増しているという。それらの砂を求めて各地で違法な浚渫、採掘も行われ、すでにビーチから砂が無くなっている所もある。さらに深刻なのは古い都市ではコンクリート建造物の劣化が始まっていて再構築にますます砂の需要が高まっている。限りある資源をどうしていくか、「70億人の暮らしを築く方法を考え出さねばならない」時が来ていると著者は警告を出している。読み物風で読みやすい本である。

 お薦め度:★★★★  対象:これからの社会構造を考える人
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