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本の紹介「空飛ぶ微生物」

「空飛ぶ微生物 気候を変え、進化をみちびく驚きの生命体」牧輝弥著、講談社ブルーバックス、2025年9月、ISBN978-4-06-540928-2、1000円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。

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【和田岳 20260306】【公開用】
●「空飛ぶ微生物」牧輝弥著、講談社ブルーバックス

 大気微生物を紹介し、それが気候や物質循環、生態系にどのような影響を与えうるかを語った一冊。
 大気微生物の発見と研究の歴史にはじまり、大気微生物を構成する分類群、由来、環境や高度、風向きや黄砂の有無による大気微生物の違いを紹介。
 ここまでは事実だけど、あとは気候、物質循環、生物進化に大気微生物が影響を与えている可能性が述べられる。大気微生物は雲をつくりそうだけど、それが気候に影響を与えているのかは未解明。物質循環に影響を与えているのは、むしろ黄砂や煙霧のように思えるし、宇宙から飛んできたのを大気微生物と呼ぶのかな? 可能性は面白いけど、夢を語ってる感が強め。

 お薦め度:★★  対象:大気微生物の可能性に興味がある人
【里井敬 20260304】
●「空飛ぶ微生物」牧輝弥著、講談社ブルーバックス

 大気を浮遊する微生物は土壌や海洋に生息する微生物の10の16乗個分の1、と少ないが日常的に影響を圧倒的に受けている。割合こそ少ないが、多数の微生物が大気中を漂っていて人はそれを吸って吐いている。室内の微生物は主に人由来であるが、屋外は森や砂漠からの微生物が砂や鉱物に付着して飛んでくる。雨の森の土の匂いは主に微生物の成分だ。大気を漂う微生物は病気の感染源になったり、雲の核になって時には気候も変える。酒や納豆も大気の微生物が元になっている。地球の生物は宇宙からの微生物の飛来が起源という説もある。逆に地球から微生物が隕石や火山によって大気が舞い上がり宇宙へ飛び出す可能性も研究されている。

 お薦め度:★★★  対象:清潔好きで細菌とは無縁の生活を送っていると思っている人
【西村寿雄 20260303】
●「空飛ぶ微生物」牧輝弥著、講談社ブルーバックス

 最近、蛍光顕微鏡などを使って大気微生物の研究が盛んになってきた。その究実態をくわしく取り上げている本書である。空にはなんど「海、山、他や畑、砂漠、人体などから舞い上がり、空を飛ぶようになった微生物」がたくさん漂っているという。その微生物が各地に分散され地球のあらゆるところに拡散されていることがわかってきた。森林帯にも南極大陸の氷の下にも宇宙空間にも微生物はただよっているという。各所の微生物を顕微鏡でたくさん捉えているところがすごい。

 お薦め度:★★★  対象:微生物に興味のある人
【萩野哲 20260223】
●「空飛ぶ微生物」牧輝弥著、講談社ブルーバックス

 森林や海洋からはじき出された空中の微生物は100〜10万個/m3で、土壌と海洋に生息する微生物数の1/1029に相当する微量であるが、仮説満載ながら、その影響力は元の環境の微生物を凌駕する。様々な場所から供給される微生物の組成は刻々変化し、混合(耐性能力の譲渡なども含む)され、遠くまで拡散され、気候、物質循環などに深く関与する。空中の様々な粒子(黄砂、金属、マイクロプラスチック、微生物同士など)の相互作用(栄養源や隠れ家)の中で最も気がかりなのは感染症だろう。かつて微生物の発見以前、病気や腐敗は空気中の有害物質=瘴気が原因と考えられていたが、それはあながち荒唐無稽な想像ではなかったといえる。

 お薦め度:★★★  対象:空中微生物のダイナミクスを知りたい人
【森住奈穂 20260306】
●「空飛ぶ微生物」牧輝弥著、講談社ブルーバックス

 土壌や水圏で研究されてきた微生物。希薄で研究しにくい大気微生物が本格的に調べられるようになったのは、21世紀になってからだそう。微生物生態学者と大気科学者とで、互助的に研究が進められているそうだ。砂漠から、海から、森から。由来はさまざまで、風に乗って長距離を移動し、途中で鉱物や煤煙などとくっついて組成が変化することも。黄砂などの砂塵が、海洋で植物プランクトンの餌になっているとは知らなかった。大気を介して伝播、循環している微生物。話はどんどん壮大になり、宇宙や生命誕生にまで及び果てしない。沼。

 お薦め度:★★★  対象:黄砂はただの砂だと思っているひと 大気に乗って移動する微生物を知りたいひと
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