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本の紹介「スノーボール・アース」

「スノーボール・アース」ガブリエル・ウォーカー著、ハヤカワ文庫NF、ISBN978-4-15-050375-8、2011年10月、800円+税


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【中条武司 20120427】【公開用】
●「スノーボール・アース」ガブリエル・ウォーカー著、ハヤカワ文庫

 20世紀から21世紀に世紀が変わる頃、地球史に新たな学説が提唱された。それがスノーボール仮説。地球が誕生して以来、数度にわたって全球が凍結し、数百万年の間、地球は氷の世界に閉ざされていたという理論だ。20世紀前半から謎とされてきた広く分布するアイス・ロック、そしてそれを覆う厚い炭酸塩岩。その謎を求めて灼熱のオーストラリア、アフリカ、そして極圏のフィールドへ、研究者はその証拠(または否定する証拠)を求めて調査し、理論がどのように導かれたか、そして論争となったかが、スリリングに述べられる。
 1998年にはじめてサイエンスに論文が出され、その後に数多くの論争があり、その上でこのような一般書が2003年に出ている(邦訳も2004年に出でている!)というのも驚きだ。それだけ多くの人を魅了するものがこの理論にはあるのだろう。理論の提唱者ホフマンにとっても本望なのではなかろうか。

 お薦め度:★★★  対象:地球科学を志す人に

【萩野哲 20120220】
●「スノーボール・アース」ガブリエル・ウォーカー著、ハヤカワ文庫

 7億年前〜5.5億年前に地球全体が凍結した時代があったらしい。当時地球に生息していたのは藍藻などの単細胞生物のみで、多細胞生物は未だ進化していなかった。本書は、この古い過去の歴史を解き明かしていく地質学者たちの物語である。例えば、ブライアン・ハーランドは熱帯でのみ形成される炭酸塩岩の中に、氷河によってえぐり取られたアイス・ロックが層になっているのを発見した。様々な証拠によって全地球凍結が信頼すべき学説となった。それでは、凍結した地球表面の水は如何に溶解したのか?凍結により生物は絶滅しなかったのか?読者は本書を紐解くことにより、それらの謎への回答を得ることであろう。

 お薦め度:★★★  対象:壮大な地球の歴史に触れたい人

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