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本の紹介「自然観察入門」

「自然観察入門 草木虫魚とのつきあい」日浦勇著、中公新書、1975年3月、ISBN4-12-100389-6、700円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
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【村山涼二 20041215】【公開用】
●「自然観察入門」日浦勇著、中公新書

 みじかな春の野草の見分け方、レンゲの花に訪れるミツバチ、川の流れにすむヤゴなど生物、夏の野や林のバッタなど虫たち、鎮守の森、外来のダンゴムシやヒガンバナと人とのかかわり、ため池めぐりとアカトンボ、カマキリの卵など虫たちの冬越などなど、季節の移り変わりと共に、みじかな自然をより深く観察する道案内の本である。人と自然とのかかわりを特に重視している。検索表や図は正しい種へと導く。リーダーのためのメモは、深い経験に基づく主張がある。この本の土台になった日浦さんが子供達を連れて歩いた当時の観察地は、30〜50年後の今どうなっているのだろうか?

 お薦め度:★★★★  対象:自然をより深く愛したい人たち

【魚住敏治 20041216】
●「自然観察入門」日浦勇著、中公新書

 本来自然観察は、それぞれが自分なりの方法で楽しく行なえばいいものだと思います。
 でも『自然観察』という言葉になんとなく引かれるものの、どう取り組んだらいいか分からない、そんな時この本を読んでみて下さい。地図一枚を片手に、自分の五感を使ってどのように自然を見れば、どんなことが分かるかが生き生きと語られています。
 筆者はこの本の始めでカバーしている分野に偏りがあると述べていますが、それよりは逆に一人でこれだけの分野を解説できるものかと感心させられます。

 お薦め度:★★★  対象:自然観察という言葉になんとなくひかれる方

【田中久美子 20041216】
●「自然観察入門」日浦勇著、中公新書

 読んでいくうちに道端の野草も、すぐそばを流れる川も、見る目が変わってくる。“観察”という不思議の扉が開かれ、観て、それが何物か解る。理解できる事が楽しくて、何でも見てやろうという気になってくる。それと同時に自然と人間とのかかわりの問題点も喚起する。
 自然観察の指導書であるとともに、ナチュラリストへの道標の書でもある。

 お薦め度:★★★★  対象:すべての人に。自然観察のはじめにぜひ1度は読んで欲しい本です。

【西村寿雄 20041005】
●「自然観察入門」日浦勇著、中公新書

 「自然観察入門」という少し固い本のタイトルとはうらはらに、しらずしらずのうちに自然界のさまざまないとなみにとけ込まされてしまう。文字を追うごとに、ついつい読み進めてしまう文章の平易さとやさしさは、著者の人柄そのものである。
 この本のすばらしいところは、単に文章の〈優しさ〉だけではない。「春の野」「れんげ畑」などという場をもとに話題を広げ、そこでの生き物たちを関連的、お話風に、しかもある場面では専門的に、きっちりと解説しているところがよい。読んでいくにつれ、じわじわと自然界の全体像が見えてくる。 
 所々に挿入されている、よく似た虫たちの〈絵解き検索〉や植物のさし絵は、初心者には大きな指針になる。最後の「春の野草の見分け方」はミニ検索図鑑としてなによりも役に立つ。

 お薦め度:★★★★〜★★★★★  対象:日浦さんが「はじめに」に書いているように退屈を感じている子どもたち、子どもと共に何かしたいと思われている大人、そろそろ隠居暮らしを迎えるお父さん 等々しかし、なんといっても、これから里地歩きでもしようかと思われているあなた。

【六車恭子 20041005】
●「自然観察入門」日浦勇著、中公新書

 自然観察者を志す人は、ある意味で機械部品を超えようと決心したトム・ソーヤに違いない。そして地図を片手に未知なる世界を旅する冒険者となる。春の野に咲くレンゲ草、そこに訪れる虫たち、花の形状が違うと訪れる虫も様変わりする。市街地を横切る川を流れにそって歩いてみる、川の形状が語る物語からは人がなくして来たものが見えてくる。お盆の墓参りもそれだけでは終わらない。次代の子どもたちに何を伝えるべきか、過去16年の博物館の学芸員としての日々の研鑽からもぎ取ってこられたものばかりだ。身近な自然もトム・ソーヤの目を持つと驚きの世界になるヒントがちりばめられている。

 お薦め度:★★★★  対象:心の隙間に爽やかな風を感じてみたい人

【和田岳 20041217】
●「自然観察入門」日浦勇著、中公新書

 昆虫が専門で、植物にも強い著者が、春の野原、レンゲ畑、小河川、林、墓地、ため池など、身近な場所での自然観察のヒントを次々と紹介してくれます。たんにどんな生き物がいるかだけでなく、種間関係、棲み分け、環境と生き物の関わりなどといった生態学的なテーマもさりげなく理解できるようになっています。
 この本を読んだら、ぜひ一度フィールドで実際に観察してみましょう。部屋の中で読んだだけでは、つまらないので。あと、自然観察会を企画しようとするなら、とても役に立つ内容を含んでいます。ぜひご参考に。

 お薦め度:★★★★  対象:自然観察会を開こうと思ってる人

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