友の会読書サークルBooks

本の紹介「しっぽがない」

「しっぽがない」犬塚則久文・大島裕子絵、福音館書店たくさんのふしぎ2015年8月号、667円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]

【西村寿雄 20151217】【公開用】
●「しっぽがない」犬塚則久文・大島裕子絵、福音館書店たくさんのふしぎ2015年8月号

 多くの脊椎動物に備わっている〈しっぽ〉の働きについて、その役割を解き明かしていく本である。ストーリー仕立てになっていて、「骨のある動物に、しっぽがないものがいるのはなぜか」を取りあげながら、しっぽの働きについて考えていく構成になっている。いろいろ調べていくと、意外としっぽのない、もしくは小さい背骨動物もけっこういることがわかる。しっぽの働きを取りあげてみると20近くも出てくる。ところが、海の中の背骨動物のしっぽの働きは泳ぐことに限られている。陸上生活をしている背骨動物のしっぽは、「からだを動かす力を生み出す場所」として使われているとしめくくっている。

 お薦め度:★★  対象:しっぽのふしぎに関心のある子ども
【西本由佳 20151220】
●「しっぽがない」犬塚則久文・大島裕子絵、福音館書店たくさんのふしぎ2015年8月号

 そこに集まった動物たちのうち、コアラとヒトにだけしっぽがない。なぜしっぽがないのか。しっぽのある動物とない動物を比べ、しっぽのもつ役割を調べながら、そのなぞを探っていく。しっぽのなぞを解くのが本題だが、おもしろいと思ったのはその過程だ。比較によってものごとを考えるときの方法を、ていねいに順を追って示している。調べる、考える、ということの楽しさを思い出させてくれる。

 お薦め度:★★★  対象:自由研究にとりくむこども
【森住奈穂 20151225】
●「しっぽがない」犬塚則久文・大島裕子絵、福音館書店たくさんのふしぎ2015年8月号

 裏表紙がかわいい!コアラのおしり(しっぽがない!)のアップ。なでなで、しながら読み進めたものの…。主な内容は、しっぽのしごと22種の紹介と、しっぽの始まりが遠い昔のご先祖までさかのぼること。コアラやヒトは、足のつき方が脇から下向きに変わったため、しっぽがいらなくなったらしい。生きものは暮らす場所によって動き方とかたちが変わるのだ。しかし、しかし。コアラのふくろいくん、ヒトのあだちさん、アシカのこみみさん、ラブカのさがみさん。擬人化がややこしい〜。ふくろいくんがこみみさんの家のバルコニーからいぬやま先生に電話をしている絵には違和感〜。「結」の部分が駆け足すぎる〜。

 お薦め度:★★  対象:しっぽの使いみちを考えたことのあるひと
【和田岳 20151225】
●「しっぽがない」犬塚則久文・大島裕子絵、福音館書店たくさんのふしぎ2015年8月号

 さまざまな陸生哺乳類が集まる「りくのうえ学校」。その授業で、みなさんにはホネがあるという共通点があります。ホネのある動物の特徴として、尻尾がある、手足が4本…。と説明されたのだけど、コアラとヒトが反論する。ぼくには尻尾がありません!で、コアラくんが尻尾の謎を、いろんな動物に会って調べていく。
 尻尾がない哺乳類を見渡した上で、尻尾の役割にどんなものがあるかを列挙。探索は、哺乳類以外にも及び、系統をたどっていく。最初は水中での推進力を生み出す目的だった尻尾が、陸上で役割がなくなり、転用されなかったら無くなったという結論。絵本定番の展開で犬塚先生の講義を聴かせてもらった感じ。

 お薦め度:★★  対象:どうして人には尻尾がないのか気になる人
[トップページ][本の紹介][会合の記録]