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本の紹介「センス・オブ・ワンダー」

「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著、新潮社、1996年7月、ISBN4-10-519702-9、1400円+税(旧版:佑学社、1991年6月、ISBN4-8416-0700-5、1165円+税)


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【早川ひろみ 20040226】【公開用】
●「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著、新潮社

 空に飛ぶ鳥や海辺に遊ぶカニを見る時、そばで一緒に感動し合う人がいればどんなに素晴らしいことでしょう。
 満月が沈む時に海が炎に包まれ、その炎が海岸の雲母のかけらを照らす様を筆者は幼い甥と楽しみます。また雨の日には、石の上に銀色の輪や小さな模様をつくる地衣類に甥がよろこび、それを見て筆者は嬉しくなります。
 こういう姿を見ると小さな子供に知識を詰め込むことが如何に馬鹿げているかを実感します。星の名前を知らなくても鳥の識別ができなくても、子供と一緒に野を歩き、自然の神秘さや不思議に目を見張りたいと思います。

 お薦め度:★★★★  対象:感性を豊かにしたい人
【金井一史 20040107】
●「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著、新潮社

 著者が甥のロジャーと共に自然の中での思い出をつづる優しげなエッセイ。
 闇を覆い尽くす満天の星空、雨に濡れた鮮やかな緑の森、庭で奏でられる虫たちの合奏、この様な身近に存在するが、あまり気にされない美しい自然の素晴らしさを書き連ねている。そして、それを子供達がどれ程巧みに見つけ出すかを。その様な自然を子供と共に見つけ感嘆していくことは子供の成長だけではなく大人の感性も豊かにすると著者は語る。人は自然の中で生きているのです、多くの人が自覚していないだけで。
 ちょっとした時間に読める一冊、何かに疲れた時、好きな飲み物を入れてゆったりと紐解いてみては如何でしょうか?

 お薦め度:★★★★  対象:心を励まされたい人

【瀧端真理子 20031227】
●「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著、新潮社

 本書は、カーソンのエッセイ風のメッセージと、訳者の上遠恵子さんのあとがき(解題)と、同名の映画スチールを担当した森本二太郎さんの写真から構成されています。自然観察会などを主催する人々がよく引用する「『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではない」というカーソンの言葉は、この本を読むと、自然のことをよく知らない親が、そこにいる鳥の名前も知らずに子どもにどう教えたらいいのかをためらうシーンでの、カーソンからの励ましの言葉だということが理解できます。
 森本さんの写真は、文句なしに美しいです。上遠さんの訳者あとがきで、カーソンのおおよそのプロフィールを知ることができます。なぜ、この翻訳書が日本で39刷まで重ねたのか、を解き明かす仕事をどなたかなさいませんか?

 お薦め度:★  対象:自然保護運動史に興味のある人

【田中久美子 20040226】
●「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著、新潮社

 甥っ子ロジャーをともなって自然探検が始まる。
 いつでも自然は新しい驚きを与えてくれる。生命の不思議に打たれてハッとするような感性。それこそがセンス・オブ・ワンダー。子供達を自然の中へ連れ出して、自然の神秘にいっしょに驚き、いっしょに感動する事。それが子供達への一番大切な贈り物だと、レイチェル・カーソンが教えてくれる。
 好奇心がキーワード。センス・オブ・ワンダーがキーワード。

 お薦め度:★★★  対象:すべての人に、とくに小さなお子さんのいるお父さんお母さん達
【寺島久雄 20040207】
●「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著、新潮社

 生まれつきそなわっている子供の神秘的さや不思議さに目を見はる感性。それが自然という力の源泉から遠ざかり人工的なものに毒される大人の解毒剤との著者の思いである。
 宇宙、森、海辺の中の植物、鳥、虫、星、岩石等の神秘的美しさ、不思議さを子供といっしょに自然を探検して感動し、生命の鼓動を聞くことで、感性を持ち続けられる。
 自然にふれるよろこび、驚きに満ちた生命の輝きは自然に身をおくすべての人が手に入れられるものであると結んでいる。

 お薦め度:★★★★  対象:統べての子供と大人に
【六車恭子 20031221】
●「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著、佑学社

 「沈黙の春」が憤怒の書だとしたら、レイチェルの最後の一冊は不思議な優しさに満ちている。私たちが無くしたものを嘆くのでなく、今あるものから何を引き出せるかを伝えるためにこの書は生まれたのだろうか。
 自然にふれることはそこに棲む驚きに満ちた生命の輝きで心が揺すぶられ強められることかも知れない。そういう生命の輝きを感じ取るリトマス紙が「センス・オブ・ワンダー」といえそうだ。

 お薦め度:★★★★  対象:大地と海と空に興味のある人ならだれでも

【和田岳 20040227】
●「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著、佑学社

 カーソンが甥のロジャーとともに、さまざまな自然の感動を分かち合う話。同時に自然との接し方について、とくに幼い子を持つ親へのメッセージでもある。ただ、やたら子どもの感性を持ち上げ、自然の神秘を強調するきらいがあるが…。
 “海辺にわたってきたイソシギを見た子どもが、鳥の渡りについてすこしでも不思議に思ってわたしになにか質問をしてきたとしたら、その子が単に、イソシギとチドリの区別ができるということより、わたしにとってどれほどうれしいことかわかりません。”この文からは、自然を単に感じるだけでなく、興味を持ち知ろうとすることを重視するカーソンの考えがよく表れている。

 お薦め度:★★  対象:小さい子どもとの関わりがある人

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