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本の紹介「世界遺産の森 屋久島」

「世界遺産の森 屋久島 大和と琉球と大陸のはざまで」青山潤三著、平凡社新書、2001年8月、ISBN4-582-85101-0、760円+税


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【瀧端真理子 20031013】
●「世界遺産の森 屋久島」青山潤三著、平凡社新書

 南西諸島の生物相を、渡瀬線以北の「温帯性生物」と、渡瀬線以南の 「熱帯的生物」に分ける定説に異を唱え、屋久島が秘める多様性・移行性・ 重層性・あいまいさ、に焦点をあてようとした本。カメラマンである筆者は、生物地理学上の知見をベースに、屋久島と周辺の島々の生物相を紹介していく。ベースにあるのは、「いくつもの日本」というコンセプトである。
 本書には、「南西諸島の区分と海深図」、トカラの島々の現状レポート、屋久島の地名に丁寧にうたれたルビ、そして巻末の屋久島関連文献リストなど、屋久島に興味を持つ人には有用なデータがコンパクトに収められている。残念なのは、個々に引用の典拠が示されていないことと、網野史学や地史学上の知見を疑いなく受け入れているように見えることである。
 
 お薦め度:★★  対象:生物地理学・屋久島に興味のある人

【寺島久雄 20031018】
●「世界遺産の森 屋久島」青山潤三著、平凡社新書

 亜熱帯から亜高山までの植生が入り交じるカオスの島、屋久島と著者が述べている如く、北と南の共存する屹立の山岳島を、垂直分布の多様性を、自分の足で調査した本である。
 沖縄列島に連なる他の島と比較し、南北に隔離分布する固有種、南限分布種、北限分布種、希産種に至る迄の生物相を解説されている。
 屋久杉を中心とした植物相には詳しい記述があり、植物に関心のある人には良書だと思います。

 お薦め度:★★★  対象:島の生物相に関心のある人に

【和田岳 20031024】
●「世界遺産の森 屋久島」青山潤三著、平凡社新書

 植物を中心として屋久島を紹介した本。内容は、屋久島の観光案内(いろいろな巨岩が出てくる!)、屋久島の生物地理上の位置づけ(屋久島は北琉球だと主張)、屋久島の植物相と動物相の紹介、周辺の種子島やトカラ列島の島々を簡単に紹介と続きます。植物や一部の昆虫(チョウやセミなど)は詳しく紹介されますが、その他の動物はあまり紹介されません。
 著者は、さかんに屋久島は大和ではなく、琉球から大和への移行帯、北琉球だと主張します。その根拠はともかく、琉球と大和の特徴を合わせ持った屋久島の(とくに植物の)魅力は伝わってきます。ただし、この本で生物地理学を勉強しようとしない方が無難でしょう。

 お薦め度:★★  対象:屋久島に行ってみようかなと思ってる植物好き

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