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本の紹介「生物多様性とは何か」

「生物多様性とは何か」井田徹治著、岩波新書、2010年6月、ISBN978-4-00-431257-4、720円+税


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【魚住敏治 20100901】【公開用】
●「生物多様性とは何か」井田徹治著、岩波新書

 生物の多様性とは何かについて論じた本ではありません。経済面からみて生物の多様性を失えば人間にとっていかに不利益かについて書かれています。読んでいて「スッ」と理解でき、とくに世界のホットスポットの報告は臨場感があり、思わず『大変なことになっている。このままいくとどうなるんだろう』と思ってしまいます。
 さらにその後、保護や再生の成功例をあげ、最後に我々にも出来ることは何かともっていくあたりみごとだと思います。それだけにもう一度、自分の資料・頭でこの問題を考えなおしてみたいような気もします。

 お薦め度:★★★  対象:ザッと生物の多様性が世界で失われている様子を知りたい方

【和田岳 20100903】
●「生物多様性とは何か」井田徹治著、岩波新書

 今や世界中で、生物多様性は危機にある。とは耳にしていてもそれを実感する事は少ない。その現状と同時に、それを何とかしようとする動きを紹介する一冊。日本人の何気ない生活が、海外での生物多様性の危機をもたらしている実情もよくわかる。
 生物や生態系が人間にもたらしてくれる「自然の恵み」のことを「生態系サービス」という事がある。「自然の恵み」を経済学の枠組みの中に取り込んで、その価値を見直し、生物多様性を守っていこうという動きの一つ。他にも生態系の負債(エコロジカル・デッド)、認証ビジネス、生物多様性オフセットなど。生物多様性を守るための新たな取り組みが、いろいろと紹介される。手軽に読める類書は少ないので、この分野の入口を紹介してくれる貴重な一冊。

 お薦め度:★★★  対象:生物多様性はやっぱり守らなくっちゃね、と少しでも思う人

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