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本の紹介「パイナップルに見た夢」

「パイナップルに見た夢」西野嘉憲著、福音館書店たくさんのふしぎ2025年7月号、736円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。

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【森住奈穂 20251024】【公開用】
●「パイナップルに見た夢」西野嘉憲著、福音館書店たくさんのふしぎ2025年7月号

 あまーい香り、あまーい果汁、南国フルーツのパイナップル。本書の舞台は石垣島。パイナップル農家の栽培のお話しと、そのルーツが台湾にあることが紹介されます。苗から2年近くかけて収穫される栽培のあれこれとともに、台湾から移り住んだ人たちが経験された新天地に溶けこむ苦労。パイナップルや水牛は台湾の方々が持ち込まれたものだったとは。知らなかったことばかりです。作物には農家さんの人生が詰まっていることに気づかされます。そしてパイナップルが食べたくなります!

 お薦め度:★★★  対象:パイナップル好き
【冨永則子 20251023】
●「パイナップルに見た夢」西野嘉憲著、福音館書店たくさんのふしぎ2025年7月号

 そのまま食べたり、お菓子になったり、人気の果物パイナップル。南アメリカ生まれのパイナップルがどうやって、いつ日本にやってきたのか? 栽培が盛んな沖縄でそのルーツを探る。石垣島を含む八重山諸島は高い気温と土壌の性質が栽培に適している。日本で本格的な栽培が始まったのは石垣島の嵩田集落で、その歴史は90年になるそうだ。当時、日本の統治下にあった台湾からもたらされ、台湾から移住してきた人々と現地の人との軋轢を乗り越え、戦禍を乗り越えて、今、私たちが「美味しい!」と口にできている。昔は缶詰が主流だったが、現在では新鮮な生果として食べることが多くなったパイナップル。その栽培の歴史を知り、石垣島の自然と台湾にルーツを持つ人々の暮らしも知ることができる。

 お薦め度:★★★  対象:ジューシーな生のパイナップル好きさんに
【萩野哲 20250920】
●「パイナップルに見た夢」西野嘉憲著、福音館書店たくさんのふしぎ2025年7月号

 パイナップルは南米原産。水はけと通気性のよい酸性土壌を好み、日本では石垣島に台湾から移住した人が栽培を始め、様々な苦労を乗り越えて産業として定着した。石垣島では現在も台湾の文化が息づいている。パイナップルは栄養芽(冠芽、えい芽、吸芽)を8月に植えると、その切り口から根が出て、18〜21か月後に1.5kgもある果実が収穫できる。果実は60〜100個の花の実がくっついたもの。収穫すると熟れるのが止まるので、そのタイミングが大切。かつては流通の問題で缶詰にしていたのだろうか。後半は、石垣島のめぐみや自然についても紹介されている。石垣島を訪問すると、それを感じることができる。

 お薦め度:★★★  対象:パイナップルと石垣島が好きな人
【和田岳 20251024】
●「パイナップルに見た夢」西野嘉憲著、福音館書店たくさんのふしぎ2025年7月号

 前半は、沖縄の石垣島で栽培されているパイナップルの話。パイナップルの苗を植えて、蕾がふくらんで、花が咲き、収穫、品種。花はとても美しい。収穫に適したタイミングが短く、重いパイナップルの収穫作業は一番の重労働とは知らなかった。
 後半は、石垣島にパイナップルがもたらされた歴史の話。90年前、台湾人入植者が、台湾からパイナップルとスイギュウを石垣島に持ち込んだ。当初は島の人との確執があったが、やがて島の重要な産業として成長していく。戦後も台湾からきた人々は日本に残り、その子孫が、現在も台湾の文化を残しつつ、石垣島の自然とともに暮らしているという。ちょっと行ってみたい。

 お薦め度:★★  対象:沖縄のパイナップルを食べたことのある人
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