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本の紹介「パンダの親指」

「パンダの親指 進化論再考」(上・下)スティーヴン・ジェイ・グールド著、早川文庫、1996年8月、(上)ISBN978-4-15-050206-5(下)ISBN978-4-15-050207-2、(上・下)640円+税


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【萩野哲 20091022】【公開用】
●「パンダの親指」スティーヴン・ジェイ・グールド著、早川文庫

 ほぼ20数年ぶりに本書を読んだ。人間の脳やクジャクのオスの羽の進化は“理論”に合致するか?ダーウィンやウォレスはもとより、多くの学者が悩み、潜在的な期待や願望や偏見に真実の発見を妨げられた。その典型はピルトダウン人の捏造であるが、「ダーウィン以来」より続く「ナチュラル・ヒストリー」誌への連載をまとめたエッセー集は、このような進化をめぐる著者の博識がいっぱい詰まっており、何回読んでも興味が尽かない。

 お薦め度:★★★★  対象:生物の進化に興味を持つ全ての人

【六車恭子 20091023】
●「パンダの親指」スティーヴン・ジェイ・グールド著、早川文庫

 ダーウィンの「種の起原」の末尾の文からひいて来たグールドの「この生命観」(This View of Life)はますますその視野を押しひろげて展開される。今目の前にある奇妙な配置とかおかしな解決のしかたなどが、進化の証しになる!、ダーウインの史観はグールドの中に脈々と引き継がれている。「パンダの親指」「イザリウオの怪異」「アオウミガメの回遊の不思議」などなど・・を読み解く手法はあざやかだ。グールドのこの一連の仕事は彼の生きた時代の科学界はいうに及ばず、文化的史観を交えて記録され、発信されたものであった。
 「この生命観」は私たちに一つの高みを惜しみなく開帳し、歴史的景観をジオラマのように映し出す、劇場のように思われる。

 お薦め度:★★★★  対象:ほんの好きな人なら誰でも

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