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本の紹介「日本の深海」

「日本の深海 資源と生物のフロンティア」瀧澤美奈子著、講談社ブルーバックス、2013年7月、ISBN978-4-06-257824-0、800円+税


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【西村寿雄 20140216】【公開用】
●「日本の深海」瀧澤美奈子著、講談社ブルーバックス

 日本は深海大国なのだ。水深5000mより深い海域の体積は世界第1位とか。豊かで変化に富んだ日本近海の深海物語が生き生きと展開されている。まずは、深海底への旅。北海道沖から沖縄近海まで広々とした海底散歩が楽しめる。次は深海に眠る資源の話へと続く。深海開発が「黄金の国・ジパング」をよみがえる勢いで進みつつあるという。熱水鉱床は金属元素の「宝の山」、深海の「泥」にはレアアースが眠っている。これからの掘削技術に期待がふくらむ。後半は、深海に住む生物で楽しませてくれる。深海は特異な生物空間だ。最後は海水の話へと進む。深層水循環の話もある。海水は酸性化にすすんでいるとか。近年の海の科学が堪能できる本である。

 お薦め度:★★★★   対象:深海を散歩したい人、地球環境に関心のある人

【中条武司 20140819】
●「日本の深海」瀧澤美奈子著、講談社ブルーバックス

 日本は陸地は小さいが、海の広さは世界第6位という大国になるそうだ。深さ5000m以深の深海に限ると世界一というデータもあるそう。当然この深海は未開の地であるが、近年の研究でその全貌が明らかになってきた。多様性豊かな生物相、レアメタルをはじめとした多くの資源、気候変動をコントロールする役割など、日本を囲む深海の重要さが示される。東日本大震災にも触れており、震災瓦礫の1/3が布団というのはちょっと驚き。
 とはいえ、全体的に突っ込み不足で、さらりと表面を撫でているだけ印象が否めない。もうちょっとテーマを絞ってもよかったのでは。

 お薦め度:★★   対象:日本の周囲の深海の概説が知りたい人

【和田岳 2014021】
●「日本の深海」瀧澤美奈子著、講談社ブルーバックス

 深海が得意な科学ジャーナリストが、深海大国日本を紹介した1冊。日本近海が世界有数の深海だらけの場所であることを紹介した上で、メタンハイドレート、熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、レアアース泥といった深海の資源。深海の生物相。深層循環や生物ポンプなど海と地球環境の関わり。近年注目されている深海絡みのトピックを順に紹介する。その筋では常識だけど、門外漢はあまり知らないことを、簡略化して紹介してくれている印象。
 ちなみに深海とは、水深200mより深い海のこと。知ってた?

 お薦め度:★★   対象:深海の資源に夢をもってる人

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