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本の紹介「日本の家ねずみ問題」

「日本の家ねずみ問題 これだけは知っておきたい」矢部辰男著、地人書館、2008年1月、ISBN978-4-8052-0797-0、1800円+税

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【西本由佳 20200216】
●「日本の家ねずみ問題」矢部辰男著、地人書館

 家ねずみは日本に昔から住んでいる野生動物かと思っていたら、そうではないらしい。家ねずみが在来の地域はそれほど広くなく、世界のほとんどの地域でドブネズミやクマネズミは外来種だという。家ねずみのもたらす害は色々あり、一つは離島などに侵入し、在来の生物に被害を与えること、また、農業被害を与えて、飢饉を引き起こした例もある。他に、人の居住地での衛生面での害がある。ペストを媒介した例は有名だが、今現在は飲食店や住宅などでの汚染や、かじることによる物品や電気系統、建物の被害が目立っている。その対策は、やみくもに毒を使って耐性のあるスーパーラットを出現させるのではなく、生態を知り、現場での行動を見て、食糧供給を断つ、通路をふさぐなどの根本的な対策が求められるという。

 お薦め度:★★★  対象:ねずみの被害に困ったら
【和田岳 20200220】
●「日本の家ねずみ問題」矢部辰男著、地人書館

 序章で、家ねずみと野ねずみは、単に屋内で暮らす、野外で暮らすという以上の違いがある。と主張。何が違うか分からない。第1章は、神奈川県城ヶ島のネズミが消えた話。なぜ消えたか調査してないのか、推測してるだけ。第2章は、戦後の都市のネズミ相の変遷を、3つの段階に分けて紹介。第3章は外来生物問題。ネズミ退治のために島に放されたイタチの問題、島に侵入した外来ネズミの話など。第4章は、野ネズミに保持されていたペストが、クマネズミを介して人にもたらされるリスクの話。第5章は、都市のネズミ退治の話。住みにくい環境を作り、分断して、殺す。
 この著者は、10年ごとに1冊本を書いているようで、1988年に「昔のねずみと今のねずみ」、1998年に「ネズミに襲われる都市」が出版されている。まとまり具合から言って「ネズミに襲われる都市」を読んだ方がいいと思う。

 お薦め度:★★★  対象:ネズミについて書いてある本をとにかく読みたい人
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