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本の紹介「モグラ博士のモグラの話」

「モグラ博士のモグラの話」川田伸一郎著、岩波ジュニア新書、2009年8月、ISBN978-4-00-500634-2、780円+税


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【魚住敏治 20091210】【公開用】
●「モグラ博士のモグラの話」川田伸一郎著、岩波ジュニア新書

 モグラ博士によるモグラ博士の話です。研究者になるまでの話と日々の研究生活の様子まで書かれていて、その中に色々とモグラの分類や生態がおりこまれ書かれています。モグラを捕まえるためのトンネルの見分け方や罠の仕掛け方なども興味を持てますし、どの分野でもそうなのでしょうが形態の分析のためには色々の過程が必要であるというのもよく理解できます。それにしても分類のために形態的な手法に染色体、DNA分析と、なんとも大変なことです。でもそれがまた楽しいのかな、なんて思わせてくれる一冊です。

 お薦め度:★★★  対象:中学生と、モグラってあまりよくわかっていないとは知らなかった方

【加納康嗣 20091215】
●「モグラ博士のモグラの話」川田伸一郎著、岩波ジュニア新書

 数少ないモグラの分類学者の自伝的なモグラの話である。子どもたちにモグラのなぞの多い生態や分類などに興味を持たせることと、一度はあきらめかけた研究に復帰していく執念を描くことによって当初の願いや希望を持ちつづけて努力する必要を語っている。モグラハンターとしてのいろいろの技術や協力者、研究者仲間とのコミュニケーションの取り方など楽しく読める。未だ飼育下での繁殖に成功していないモグラの不思議をかいま見ることが出来るが、生態についてわかる限りのことをもう少しつっ込んで解説してほしい気がした。

 お薦め度:★★★  対象:生物に関心がある若い人

【釋知恵子 20091218】
●「モグラ博士のモグラの話」川田伸一郎著、岩波ジュニア新書

 モグラといえば、思い出すのは小さな子どもの頃。ある日、祖父が畑でモグラを捕まえてきた。「こいつは悪さをするやつだ」とバケツに入れられたモグラ。初めてみたモグラはかわいらしく、ひとしきり触ってながめた。でも、翌朝、モグラは、バケツの中で動かなくなっていた。バケツになんて入れるからだと、しばらく祖父と口を聞かなかった記憶がある。それ以来、モグラは飼えないものだと思っていた。なので、この本を見て一番びっくりしたのは、モグラの飼育方法。筒状にした金網の中でモグラが飼えるなんて。それ以外のところは、研究者のモグラ研究生活がメインで、ジュニア向けには、研究をするということの基本が分かっていいかもしれないが、この本を読めば、モグラの暮らしが浮き出てくる、モグラの知らなかった面を知ることができるという期待にはあまり応えてくれなかった。それだけ、モグラのことがわかっていないということの表れだろうか。文章と関連づいたもう少しわかりやすい図や、モグラのかわいいお宝写真が見られたら、もう少し満足度があがったのかも。

 お薦め度:★★  対象:モグラ博士の研究生活を知りたい人に

【西村寿雄 20091213】
●「モグラ博士のモグラの話」川田伸一郎著、岩波ジュニア新書

 新進気鋭の学者が書いた〈モグラ学入門〉といった本である。モグラ研究の現段階での知識やモグラ研究のおもしろさなどが伝わってくる。モグラのかくれた全容が分かってくる。〈モグラとキノコの不思議な関係〉や〈モグラの恋愛〉などと興味深い話も続く。モグラは農業者には厄介扱いされているが,意外と,昆虫を捕食したり土壌の循環の手助けなど,生態系のバランス維持に役立っていると書く。

 お薦め度:★★★  対象:里山のほ乳動物に興味を持つ人

【萩野 哲 20091212】
●「モグラ博士のモグラの話」川田伸一郎著、岩波ジュニア新書

 モグラは日本では名前こそ知られているが、通常人目につかない生活をしているためその実態はよく知られておらず、偏見も多い(畑の作物を食べるとか)。また、独特の調査法が必要なためか、哺乳類の中で比較的研究が進んでいないグループでもあるらしい。このようなモグラに取り付かれた著者が、なぜモグラを研究するに至ったかに始まり、今までにわかったモグラの秘密を紹介する内容となっている。多くの人の興味はモグラの採集法であると想像するが、もちろんそれについても触れられている。

 お薦め度:★★★  対象:珍しい動物に興味を持っている人

【和田岳 20091216】
●「モグラ博士のモグラの話」川田伸一郎著、岩波ジュニア新書

 モグラ博士がモグラを紹介しつつ、モグラの研究の仕方や、自身がモグラ博士になるまでの過程も紹介した本。モグラ博士がしているモグラの研究って、あちこちに行って、とにかくモグラをたくさん捕まえる事から始まるらしい。というわけで、いかにモグラを捕まえるかという話に力が入る。モグラとは何か知りたい人、モグラを研究してみたい人、哺乳類の野外調査をするような研究者になってみたい人は読んでみたらいいと思う。が、モグラの形態や系統、生態について、そんなに詳しく紹介しているわけではないので、モグラについてとても詳しく知りたい人には物足りないかも。

 お薦め度:★★  対象:モグラのことをあまり知らないけど、モグラに興味がある人

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