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本の紹介「水の中のダンゴムシ」
「水の中のダンゴムシ あなたの知らない等脚類の多様な世界」富川光著、八坂書房、2025年10月、ISBN978-4-89694-383-2、2400円+税
【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
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【萩野哲 20260223】【公開用】
●「水の中のダンゴムシ」富川光著、八坂書房
この本で言うダンゴムシとは甲殻綱等脚目に属する全ての群を意味し、その範囲を解説している。その内、狭い意味でのダンゴムシとワラジムシは、系統関係と丸くなる能力の有無がややこしい。これら、陸生の種は少数派で、水中こそ彼らの起源なのである。有名になったグソクムシもこの仲間。通販で入手でき、食べ方も紹介されていたので、積極的ではないが、機会があれば食べてみよう。穿孔性のナナツバコツブムシは島をも消滅させ、カレル・チャペックの「山椒魚戦争」を連想させる。そして、何より凄いのは、小笠原の等脚類の多様性。文字通り進化の実験場だが、グリーンアノール、ニューギニアヤリガタウズムシ、アカギなどの外来生物の脅威に晒されているので、もはや楽園ではなくなりつつあるのが残念だ。
お薦め度:★★★ 対象:ダンゴムシの多様性を知りたい人
【里井敬 20260304】
●「水の中のダンゴムシ」富川光著、八坂書房
ダンゴムシはムシか?冒頭でムシは昆虫だけでなく、小さい生き物とある。ダンゴムシの仲間は陸だけでなく海に棲むものもいたり、団子にならないもの、大きさも50cmに達するものまである。
元々ダンゴムシの仲間は海で発生し淡水域・陸上へと進出した。日本海を取り囲む地域はイソコツブムシ類の種が多様である。これは氷河期・間氷期を繰返した為、汽水・淡水の種の多様性を生んだと考える研究者もいる。また、小笠原諸島では淡水で生活史を完結させる生物は普通生息しないが、例外として淡水のオガサワラコツブムシが固有種として進化している。遠い列島から何らかの方法で流れ着き、川ごとに独自の進化をとげる絶滅危惧種である。
ダンゴムシ類はまだまだ種名も分かっていないものも多く知らない面がいっぱいです。
お薦め度:★★★ 対象:ダンゴムシに子供の時、慣れ親しんだけれどその後苦手になった人
【冨永則子 20260305】
●「水の中のダンゴムシ」富川光著、八坂書房
ダンゴムシは昆虫と同じ節足動物に分類されるが昆虫ではない。節足動物は、これまでに110万種が知られている大きなグループで、現生の動物種の85%以上を占める地球上で最も繁栄している動物群で、体の作りの違いによって4つのグループに分けられる。昆虫は、その中の一つのグループ「六脚類」。そして、ダンゴムシはエビやカニと同じ甲殻類に分類される。ダンゴムシの仲間が海水から淡水、そして地上へと異なる環境へ適応し、多様な種が生まれてきた。本著では、ダンゴムシの多様性研究の基礎となる分類学について、名前を知ることの楽しみや新種を記載することの意義が解説されている。
ダンゴムシの仲間によって、食べ尽くされようとしている島が瀬戸内海にあるとは…植木鉢の下に潜んでいる小さなダンゴムシにも隠れた力があるのかな?
お薦め度:★★ 対象:小さなムシに興味がある人に
【西村寿雄 20260303】
●「水の中のダンゴムシ」富川光著、八坂書房
ダンゴムシと言えば子どもたちにはなじみの生き物。ダンゴムシの仲間は海水・淡水中にもたくさん生息している。この本はその水の中のダンゴムシ(等脚類)についてくわしく語られている。文章は平易だが少々情報量が多い。中学生ぐらいから読めるのではないか。
水際ではおなじみのフナムシも肺機能を獲得して陸上に進出した。「丸まる」というしぐさは乾燥から身を守る手段のひとつという。島を消滅させるダンゴムシもいるという。たかがダンゴムシ、されどダンゴムシである。
お薦め度:★★★ 対象:ダンゴムシに興味ある人
【和田岳 20260306】
●「水の中のダンゴムシ」富川光著、八坂書房
一番メジャーなダンゴムシをだしに、等脚類を紹介した一冊。
第1章で分類と形態、そしてワラジムシ類・ダンゴムシ類の系統と丸まる行動の進化を紹介。第2章は、等脚類の進化と淡水・陸上への進出の話。コツブムシ類の日本海周辺での多様化の話題。第3章と第4章は、変わった等脚類の紹介。二つ折りになるヒラタウミセミ。ナナツバコツブムシの腹で暮らすイアイス。巨大等脚類オオグソクムシ、そしてダイオウグソクムシ。宮島の鳥居に穴を開けるキクイムシやキクイモドキ。岩に穴を開けて島を消滅させるナナツバコツブムシ。第5章は、小笠原諸島の陸生等脚類とその危機の話題。最後の第6章は、なぜか分類学の概説。
興味深い話題が並んでいるが、等脚類の全体像をつかんだ感じがしない。これで等脚類の多様性をカバーしているのかな? 一方、等脚類から離れた話題への寄り道が多すぎと思った。
お薦め度:★★ 対象:等脚類の進化と多様性の一端を知りたい人
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