友の会読書サークルBooks

本の紹介「宮澤賢治の地学教室」

「宮澤賢治の地学教室」柴山元彦著、創元社、2017年11月、ISBN978-4-422-44010-1、1700円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]

【上田梨紗 20180222】
●「宮澤賢治の地学教室」柴山元彦著、創元社

 1限目の宇宙のしくみに始まり、地球のしくみ、岩石と鉱物、地球の歴史、そして5限目大気と海洋で授業は終わり、放課後では宮沢賢治さんと地学との関わりが年表化され、本文で引用された作品の紹介もされている。著者が言うように、活断層だらけの日本で生きるからには、災害に備えるためにも、またその恩恵を最大限に受けるためにも、地学は「基礎」として必要な知識なんだと強く感じました。
 カラーの絵や図、写真等がたくさんあり、内容も簡単でわかりやすくしてくれており、登場人物もかわいくて、私は100%くまくん推しです。宮沢賢治さんの凄さを改めて感じる事もできました。「楢野木大学士の野宿」を読んでみたいです。

 お薦め度:★★★★  対象:地学の基礎を簡単にふわっと知りたい人


【中条武司 20180222】
●「宮澤賢治の地学教室」柴山元彦著、創元社

 地質学に携わっていたことがその筋ではよく知られている宮沢賢治。彼の著作の中から、キーワードを拾い出して、それの意味を地学の教科書的に紹介。しかし、教科書を書くという意識が強いので、宮沢賢治の著作では扱っていない内容も解説し、結局は宮沢賢治と内容がずれている。教科書から離れ宮沢賢治一本で勝負するか、すべてを網羅するために宮沢賢治以外の文学も入れたらよかったのに。そもそもみんな宮沢賢治作品で扱っているからといって、地学への親しみが増すのだろうか。

 お薦め度:★★  対象:宮沢賢治と地学の関係って、ということが知りたい人?


【西本由佳 20180218】
●「宮澤賢治の地学教室」柴山元彦著、創元社

 高校の先生として長く勤めた人の書いた地学の入門書。宮沢賢治は地学に明るく、作品のなかにも地学を題材とした空想が多く見られるという。その文章を導入として、地学の基本が説明される。読み物として読むには、少し情報量が多い気がするけど、説明はシンプルで図版がきれいなので、全部を読み通さなくても、手元に置いといてぱらぱら眺めたり、ちょっと地学の知識を再確認したりするときにも重宝しそう。

 お薦め度:★★★  対象:地学に苦手意識のある人に


【西村寿雄 20180219】
●「宮澤賢治の地学教室」柴山元彦著、創元社

 宇宙から地球のしくみ、岩石と鉱物、地球の歴史と、高校地学分野をまとめた本である。タイトルにあるように宮澤賢治の物語を挿入したり5人の登場人物に語らせるなど、工夫は見られるが体裁は地学の教科書風で読んで楽しくない。著者は元地学の教員で、なんとか高校生にも地学を楽しく学ばせたいという思いから書かれた本だが、登場人物に十分語らせるなど一工夫がいる。賢治の「楢の木大学士の野宿」も、全文を読んでこそユーモラスな面白みが伝わるのに抜粋すると興味は半減する。これでは《石っこ賢さん》の心は伝わらない。

 お薦め度:★★  対象:地学を学びたい高校生


[トップページ][本の紹介][会合の記録]