友の会読書サークルBooks

本の紹介「見えない絶景」

「見えない絶景 深海底巨大地形」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス、2020年5月、ISBN978-4-06-517904-8、1000円+税

【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]

【中条武司 20201028】【公開用】
●「見えない絶景」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 地球上の7割を占める海、そしてそのうちの90パーセントもの面積を占める深海は、そのほとんどを人類は目にしたことがない。三大洋を全て潜ったことのある著者が、「ヴァーチャル・ブルー」というその名の通りの架空の潜水艇に乗り、世界中の深海をめぐる。日本海溝から深海大平原、巨大海台を超えてハワイのホットスポットへ、三大洋の海膨・海嶺を見て再び日本にもどる世界一周深海の旅。深海がメインテーマだから仕方がないけど、海の絶景といえばアマゾンファンやベンガルファンなどの巨大海底扇状地、陸から一気に深海まで繋がる富士川ファンデルタ(駿河湾)なども取り上げて欲しかった。あと3章「プレートテクトニクスのはじまり」と4章「冥王代の物語」は、著者がどうしても入れたかったのかもしれないけど、本論とは少しかけ離れているので不要だったのでは。

 お薦め度:★★★  対象:人類が未だ到達していない地球上最後の未開の地を知りたい人
【西村寿雄 20201019】
●「見えない絶景」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 海底には、日本アルプスをはるかに超える山脈が延々と広がって地球を取り巻いていることはすでに知られている。著者は「しんかい6500」等に乗り込んでしてインド洋の深海調査を行ってきた経験を持つ。その経験をもとに、仮想潜水艇に乗って読者が世界の深海を訪ね歩く道案内をしてくれている。海底には、海嶺や、海溝、断裂帯、海台、深海大平原等がある。いったいどんな所だろうか。まずは、日本海溝から。地滑りや、地震の跡も見える。次に水深5000mの深海大平原へ。世界を取り巻く海嶺などを見て上陸。「深海底巨大地形の謎に挑む」「プレートテクトニクスのはじまり」「冥王代の物語」などの話がある。

 お薦め度:★★★  対象:海底地形に興味のある大人
【西本由佳 20201025】
●「見えない絶景」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 著者は深海の調査に何回も参加している地球科学者。その経験から、仮想の旅として、地球を一周して海洋底の景観を遊覧する、というかたちで、海底地形を解説してくれる。海溝や海嶺、大平原や海台などは、陸上の地形をはるかに上回るスケールをもつ。日本海溝に刻まれた地震の痕跡は生々しい。海嶺といっても、太平洋と大西洋では性質が違って、それはパンゲアの時代にまでさかのぼる。マグマオーシャンから最初のプレートテクトニクスを再現するかのようなハワイの溶岩湖の様子は、一度見てみたかった。

 お薦め度:★★★  対象:スペクタクルな景色を見たい人
[トップページ][本の紹介][会合の記録]