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本の紹介「クジラのおなかからプラスチック」

「クジラのおなかからプラスチック」保坂直紀著、旬報社、2018年12月、ISBN978-4-8451-1566-2、1400円+税


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【和田岳 20200626】【公開用】
●「クジラのおなかからプラスチック」保坂直紀著、旬報社

 海洋ブラスチック汚染の問題を、子ども向けに解説した本。漁網に絡まったアカウミガメ、ビニール袋を全身にまとったシュバシコウ。口絵の写真がいきなり衝撃的。
 レジ袋、ストロー、ペットボトルから、車の内装、チューイングガム、ハミガキの中身にまで。現代の我々の身の回りには、プラスチックがあふれている。その多くはリサイクルされず、やがて海に到達する。レジ袋などを食べて死んだウミガメやクジラは、しばしばニュースにもなる。しかし、海の生きものの多くがマイクロプラスチックなどの形でプラスチックを取り込んでいること、海の真ん中に大量のプラスチックが浮かんでいる海域があること、深海にまでプラスチックは沈んでいること。想像以上に海洋プラスチック汚染が進んでいることは意外に知られていない。
 子ども向けだけあって、プラスチックとは何か?という説明が丁寧。プラスチックの種類の説明や、そのリサイクルの話は、大人でも勉強になる。この本を読めば、なんとかしなくては、と思うはず。

 お薦め度:★★★★  対象:プラスチックを使ってる人
【ケンタロウ 20200503】
●「クジラのおなかからプラスチック」保坂直紀著、旬報社

 この本は、子ども向けに海洋プラスチック問題について書かれています。例えばマイクロプラスチックのことや海で暮らしている色々な生き物たちが、人間が出しているプラスチックごみで被害をうけていること、プラスチックの構造や性質、リサイクルのことなど。イラストや写真などを使ってわかりやすく説明されているので、理解しやすかったです。地球の資源をむだにしないことも大事です。
 この本は、子ども向けに書かれた本だそうですが、この内容はむしろ今までプラスチックを何の疑いもなく受け入れて使っていた大人たちに、ぜひ読んでみてください。そして、ひとりでも多くの人が、海がプラスチックでひどく汚れていることを知ってもらい、もっと地球環境のことに興味をもってもらい、ひとりひとりが責任をもって行動をし、ゴミをへらすことをやってください。おねがいします。

 お薦め度:★★★★  対象:子どもから大人までごみを出しているすべての人へ
【上田梨紗 20200624】
●「クジラのおなかからプラスチック」保坂直紀著、旬報社

 「はじめに」の中のプラスチックのある生活を見て、プラスチックは私達の生活必需品となっている事に気付かされた。石炭や石油で作られているプラスチック、その歴史等も簡単に知る事ができる。
 プラスチックのない生活はムリでも、使用を減らすことや、リサイクルによって川や海に流れ出るのを防ぐことはできると著者はいう。また環境問題という大きな視点から見ると、他の素材を使用することにより、石油等のエネルギーが必要となった場合、本末転倒だともいう。難しい…。巻頭の写真達には、申し訳ない気持ちになる。
 2020年、「海洋プラスチック憲章」の洗い流すタイプの化粧品や洗顔せっけん、歯みがき等のプラスチック製マイクロビーズの使用は減らせたのか、私の歯みがき粉はどうなのか。本の帯に記載されているように、使用するにも責任が伴うのだ。
 この本を課題本に推薦してくれた、現役小学生Booksメンバーに感謝です。

 お薦め度:★★★★  対象:わたし(安い・便利だけで物事を考えてしまう人)
【柴田可奈子 20200625】
●「クジラのおなかからプラスチック」保坂直紀著、旬報社

 優しい文章で、色々な角度から海洋プラスチック汚染について、わかりやすく説明されている。現在の、生活においてプラスチックなくては、やっていけないこと。でも、上手く使っていかないといけないよねってことが、伝わってきた。311の津波、マイクロプラスチックの食物連鎖の話しなど、読者を飽きさせない組み立てで、読後感も良かった。

 お薦め度:★★★  対象:海洋プラスチック汚染に興味のある方
【冨永則子 20200625】
●「クジラのおなかからプラスチック」保坂直紀著、旬報社

 プラスチック製の網でグルグル巻きになったウミガメ。ポリ袋をすっぱりかぶったコウノトリ。餌が食べられなくて死んだクジラのお腹の中から出てきた大量のビニール袋。…と、たいへんショッキングな写真が並ぶ。海の生き物を苦しめているものは私たち人間が使っていたプラスチック製品。ゴミとして捨てたものや捨てようとしたものが海に流れ着き、生き物たちを苦しめる。私たちの暮らしに欠かせないプラスチックは便利だが、非常にやっかいでもある。土に埋めようが燃やそうが完全に消えることがない。どんなに小さく分解されても残り続け、回収すら不可能になる。これら小さく分解されたマイクロプラスチックは生態系にまで影響を及ぼしている。私たちに身近なゴミ問題が科学的に解説され、自分の日々の行いが地球規模にまで影響を及ぼしていることに気付かされる。ただ、最後の章のゴミ削減に関する内容は、プラスチックゴミが問題として言われだした30年前と大差ないことに愕然とする。人々の意識は、かなり高くなっているが、リサイクルとリユースしか未だに解決方法はないのだろうか? 石油から作られたんだから、もとの石油に戻す方法はないのかなぁ?

 お薦め度:★★★  対象:毎日ゴミを作り出している全ての人に
【中条武司 20200624】
●「クジラのおなかからプラスチック」保坂直紀著、旬報社

 私たちの周りの数え切れないほどの量のあるプラスチックでできたもの、それが海に流れ出してゴミとなって大きな問題になっています。人が住んでいない南極や北極までプラゴミが流れ着いていることや、海のすむ生き物がプラスチックを間違って食べてしまったり、からまったりして多くの命を失っていることがやさしく解説されています。未来を担う子どもたちが読む本としては、浮いているプラゴミ以外のこと(実際はほとんどわかっていない)や、これからプラスチックゴミ問題をどうするかついての掘り下げがもう少しあった方が良かったように思います。

 お薦め度:★★★  対象:ニュースで聞く海洋プラスチック問題って何という子ども〜大人
【西本由佳 20200621】
●「クジラのおなかからプラスチック」保坂直紀著、旬報社

 プラスチックの網がからまったウミガメ、死んだクジラのおなかから出てきた大量のビニール袋、そういう痛ましい写真から始まる。この生きものたちの困難は、誰かの悪意で生まれたものではなく、たくさんの普通に暮らしている人の生活に由来している。プラスチックとは何か、というところから始めて、なぜなくならないのか、なぜ海にたくさんただようのか、それが人を含めた生きものにどんな影響を与えるのか、わかりやすい言葉で説明される。最後はペットボトルや包装など、身近なプラスチックをどう扱うか、という話になる。川や海をきれいにすること、プラスチック問題を解決するために世界でどんな動きがあるか、人ごとではなく自分の問題として考えるための材料が示される。

 お薦め度:★★★  対象:プラスチックを使っている人
【森住奈穂 20200626】
●「クジラのおなかからプラスチック」保坂直紀著、旬報社

 この7月からレジ袋の有料化が始まる。プラスチックごみを減らすための取り組みのひとつだ。なぜプラスチックごみは問題なのだろうか?本書の口絵には、プラスチックの網や袋が絡みついたウミガメやコウノトリ、死んだクジラのお腹から見つかった大量のビニール袋が紹介されている。さらに紫外線や波で劣化し、5mm以下のサイズになったマイクロプラスチックという大問題もある。自然素材とは異なり、プラスチックは無くならない。残り続ける。その便利さゆえに私たちの生活のあらゆる場所で使われているプラスチック。星新一のショートショート『おーい でてこーい』が思い出される。プラスチックを使う人全員が、自分事として考えていかねばならない問題だ。

 お薦め度:★★★  対象:プラスチックのなにが問題なのかを知りたいひと
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