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本の紹介「クジラがしんだら」
「クジラがしんだら」江口絵理文・かわさきしゅんいち絵、童心社、2024年9月、ISBN978-4-494-01599-3、1800円+税
【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
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【里井敬 20260624】【公開用】
●「クジラがしんだら」江口絵理文・かわさきしゅんいち絵、童心社
深海でチョウチンアンコウは、灯りをともして魚をおびき寄せて食べます。それでも5日ぶりの餌です。そうでない生き物はもっと長い間餌にありつけません。そんな時に何十年も生きていた大きなマッコウクジラが死んで深い海の底に落ちてきた。半年も何も食べていなかったユメザメがクジラの厚い皮を食い破り、そのあと色々な動物が集まってきます。何年も何も食べていないダイオウグソクムシが食べかすを食べ、半年も経つと骨だけになります。ホネクイハナムシのあかちゃんが漂ってきてとりつき、骨を食べ尽くします。
その後、硫化水素がにじみ出ます。それを栄養に変える細菌、その細菌から栄養をもらう生き物。その時代が何十年も続きます。1頭のクジラが何十年もかけて色々な生物の栄養になります。
お薦め度:★★★ 対象:深海の生き物に興味のある人
【冨永則子 20260624】
●「クジラがしんだら」江口絵理文・かわさきしゅんいち絵、童心社
深く暗い海の中、そんな環境でも生き物は存在し餌を取る。もっと深い海底にも生き物は存在し、食べ物をじっと待っている。そこに、ゆっくりと落ちてきたのはマッコウクジラ。何十年もの長い一生を終え、海底に沈んできた。その肉の臭いを嗅ぎつけ、さっそくやって来たのがユメザメ。鋭い牙でマッコウクジラの分厚い皮膚もひと噛み。サメがつけた噛み跡に次々と生き物たちが飛びついてくる。こうしてクジラの命が終わっても、その体を食べる生き物たちが別の命を繋いでいく。それは、なんと2000年分のごちそうになる。巻末のQ&Aによると、今この瞬間、世界中の海に10万頭ものクジラが海底に沈んでいるそうだ。
お薦め度:★★★★ 対象:“ヨドちゃん”の行く末が忘れられない人に
【西村寿雄 20260614】
●「クジラがしんだら」江口絵理文・かわさきしゅんいち絵、童心社
深海に沈んできた一匹のクジラの死体が以後50年とも100年とも言われる長い期間、深海に棲む生き物の命をつなぐという壮大な話である。ある時、一体の巨大なクジラの死体が海底に沈んできた。この死体を見つけて順に現れてくる生き物たちが描かれている。海の生きものたちはおなかをすかして食べ物をじっとまっていた。骨の髄まで食べられていく。こうして一体のクジラの死体は他の動物の命のバトンをつないでいく。
お薦め度:★★★ 対象:小学生から大人まで
【萩野哲 20260619】
●「クジラがしんだら」江口絵理文・かわさきしゅんいち絵、童心社
何十年も生きたクジラが死んだらどうなるか。まずは深海に沈んで行く。そして、肉の匂いに気付いた、おなかをすかせた動物たちが集まってくる。こんなこと、初めてという動物が多いだろう。この宴会は半年も続く。骨しか残っていない状況で、今度はホネクイハナムシなどの鯨骨生物群集の宴会が何十年も続く。約100年で1サイクルのこのイベントは、現時点で世界中の海に10万件も起こっているらしい。クジラとホネクイハナムシの共進化はどのように成立したのか、興味は尽きない。
お薦め度:★★★ 対象:クジラの死にまつわる不思議な旅を知りたい人
【森住奈穂 20260703】
●「クジラがしんだら」江口絵理文・かわさきしゅんいち絵、童心社
ある日、死んだクジラがふかーく、くらい、海の底に沈んできます。そこには食べもの待っていたさまざまな生きものたちがいます。サメやアナゴ、カニやウニ、グソクムシなど、数年ぶりの食事にありついたものもいます。骨だけになったクジラにくっついているのはホネクイハナムシ。ゴカイの仲間だそうですが、なんとも奇妙な外見、そして生態。もし生まれ変わってホネクイハナムシになったら…私はクジラの骨にたどり着けるかしらん。クジ運がないからきっとクジラ運もないな。ふかーく、くらい、不思議な世界に引き込まれます。
お薦め度:★★★★ 対象:2000年分のごちそうが降ってくる世界を覗いてみたいひと
【和田岳 20260625】
●「クジラがしんだら」江口絵理文・かわさきしゅんいち絵、童心社
クジラが死んで海底に沈んだら、何が起きるかをテーマにした絵本。もちろん沈んだマッコウクジラがある意味主人公だが、重要なのはその分解に活躍する動物たち。まずは肉を食べに集まる魚、カニ、ウニ、そしてダイオウグソクムシ。で、真の主人公は、肉が食べ尽くされた後に、骨を食べるホネクイハナムシ。骨を食べ尽くして、子どもを旅立たせる。その子ども達が新たな鯨骨を見つける。絵柄も含めて、深宇宙の探査のような趣。
本文の最後には4ページにわたる登場動物紹介、骨まで食べられた後の状態、そして下部には100年にわたるクジラの死体分解のタイムスケール。最後の1ページには「鯨骨生物群集」のなぜ?どうして?と題して、4つのQ&A。青と黒を基調とした絵柄は、暗くならずに、とても綺麗。そして全体にサービス精神満点の絵本になっている。
お薦め度:★★★★ 対象:海底に沈んだクジラの死体を分解する動物たちの暮らしを考えてみたい人
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