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本の紹介「クジラが歩いていたころ」

「クジラが歩いていたころ 動物たちのおどろくべき進化の旅」ドゥーガル・ディクソン作・ハンナ・ベイリー絵、化学同人、2020年11月、ISBN978-4-7598-2115-4、2100円+税


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【西本由佳 20210621】【公開用】
●「クジラが歩いていたころ」ドゥーガル・ディクソン作・ハンナ・ベイリー絵、化学同人

 進化という視点で古生物の変遷を解説する本。進化とは何か、という説明から始まり、かたい殻をもつ生物が登場し、「トカゲが水中へかえったころ」「爬虫類に翼が生えていたころ」「ワニが世界を支配していたころ」「鳥に歯があったころ」などと続く。見開きで一つのテーマについて、進化する上でのキーワードや代表的な古生物について、イラストで解説される。海中や陸上の支配者がどんどん入れかわっていき、それから逃れるための進化も進んでいく。化石記録からこれだけの生物多様性が描けるのだなと思った。

 お薦め度:★★★  対象:生きものが好きなら
【上田梨紗 20210625】
●「クジラが歩いていたころ」ドゥーガル・ディクソン作・ハンナ・ベイリー絵、化学同人

 クジラだけではなく、動物の進化について書かれている。p.4〜p.9までの間で大陸移動や進化、系統樹などについて紹介しているが、酸素については記載がなく、その後のp.14「あたらしいすみか」で少し出てくるが省略されている。元々は有害だった酸素を使って新たな環境に適応したことは、進化を語る上で必要だし重要なのでは?と感じた。
 個人的に、シアノバクテリアのことが好きなため低評価なだけで、絵も文章も素晴らしかった。「足のなごり」の絵が好き。進化は、確かにおどろきに満ちています!

 お薦め度:★★★  対象:進化について知りたい人
【西村寿雄 20210621】
●「クジラが歩いていたころ」ドゥーガル・ディクソン作・ハンナ・ベイリー絵、化学同人

 『種の起源』発表から、時は流れて20世紀になると化石の発見もどんどん増えた。さらに、分子生物学的の研究も進み、遺伝子のDNA解析を通して、どの動物がどの動物から分岐したのかもかもわかるようになった。この本は、それらたくさんの化石をもとに動物がどのように進化してきたか、くわしく書かれている。いわば、ダーウィン進化論の科学的実証版でもある。最初に「進化について」や「変化と適応」「突然変異」等の説明があり、「変化する地球の話」があった後、「生命の樹」「分岐図」などの基本的な話がある。そこから、さまざまな動物の化石とその進化がわかる解説がある。大胆な挿絵がいろどりを増す。少々文字は細かい所があるが現代まででわかっている進化についてくわしく見ることができる。

 お薦め度:★★★  対象:動物進化に興味ある人
【六車恭子 20210625】
●「クジラが歩いていたころ」ドゥーガル・ディクソン作・ハンナ・ベイリー絵、化学同人

 地球の生命の歴史を自然界の大実験場として眺める大型絵本だ。地球も変化する、大陸も動く、それぞれの場所と時間軸の中で生あるものは試された!ハルキゲニアのような奇妙キテレツな造形もその頃は理にかなっていたのだ。海生爬虫類は大型化し、大空の支配者も地上の怪物も彼らの時代を謳歌したのだ。ヘビは足を無くし、鳥は歯を無くし、少しずつ、少しづつ変化していった!海の覇者クジラも陸から海に転進していたようだ。哺乳類は牙を磨ぎ、霊長類は脳を大きくし、類人猿が登場する。私たちの物語はこの長い物語の先に過去から学びながら続いて行く。胸ときめく彼らの時代の後に、わたしたちは何をバトンして行けるだろうか、ふと、不安がよぎる。

 お薦め度:★★★  対象:幼児から小学低学年くらい
【和田岳 20210827】
●「クジラが歩いていたころ」ドゥーガル・ディクソン作・ハンナ・ベイリー絵、化学同人

 有羊膜類中心に、恐竜以外の古生物を紹介した絵本。出だしで、進化の解説や地質年代の簡単な解説があるのだけど、本の構成は、大雑把に時代順のようでいて、爬虫類以降はかなり大雑把。
 カンブリアンモンスターの次は、脊椎動物の陸上進出。と思ったら、再び海に戻って魚竜や首長竜。あとは翼竜、ワニ、足のあるヘビ、鳥類ときて、標題のクジラが陸を歩いていたころ。その後は、化石サイ類、化石ゾウ類、走鳥類、食肉類、最後にサルからヒトの進化。
 選択基準はよく判らない。2〜6ページで好きなトピックを適当に選んで並べた感じ。 大枠を気にせず比較的マイナー古脊椎動物を楽しむならいいかも。

 お薦め度:★★  対象:時代や進化の順番を気にしない恐竜以外の古脊椎動物好き
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