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本の紹介「昆虫科学読本」

「昆虫科学読本 虫の目で見た驚きの世界」日本昆虫科学連合編、東海大学出版部、2015年3月、ISBN978-4-486-02035-6、2900円


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【萩野哲 20150624】【公開用】
●「昆虫科学読本」日本昆虫科学連合編、東海大学出版部

 現在、昆虫(およびその他)科学の第一線で活躍する18人が各々の専門について語った本。昆虫の行動を解明する研究、昆虫の能力を利用する情報、また昆虫の害を防ぐ技術が満載されていて、こんなことまで調べているのかという感心とともに、まだまだわからなくて調べるべきことがらがたくさんあるということをあらためて認識した。個人的には、灯りに集まる昆虫のめざす先からライトトラップの効率を考えたり、虫が侵入しない包装がいかに工夫されてきたかについて大好きなチョコレートを食べながら、なるほどと感心した一冊であった。

 お薦め度:★★★  対象:生物の能力に興味を持っている人

【和田岳 20150626】
●「昆虫科学読本」日本昆虫科学連合編、東海大学出版部

 

昆虫関係の学会などが14団体集まって、日本昆虫科学連合というのを構成しているらしい。で、各学会から1編ずつ執筆してもらった、一般向けの啓蒙書らしい。当然予想されるように、一貫した編集方針はない。きちんと一般向けを意識して、そこに最新の研究成果を盛り込んでる著者もいれば。専門家向けに研究概要を書いてるんでしょうか?って執筆者もいる。予備知識なく、一般の人が読んでも充分に楽しめる章は限られる。

 個人的に面白かったのは、最初の方。1章「トンボの色いろいろ」:アカネやカワトンボの色が変わるメカニズムや、色彩多型の意味を紹介してくれてて面白い。2章「灯りに集まる昆虫はどこをめざしているのか」:虫が灯りに集まるなんて、当たり前。と思っていたが、まだまだ謎がいっぱいあったとは! 4「群れると色が変わるサバクトビバッタ」:いろんな色をつけたケースでバッタを飼う。という自身が書くように小学生の自由研究みたいなので、こんなに成果があがるというのが印象的。5章「クモの網が丸くないわけ」:どこにでもいるクモとその網。それでこんなに色んな事を考えて、研究する余地があるとは!これまた自由研究でもできそうなところに、様々な謎があるのが良い感じ。

 お薦め度:★  対象:昆虫によほど興味があれば。もし目次を見て、面白そうと思った章があれば、立ち読みを。

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