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本の紹介「コケの謎」

「コケの謎 ゲッチョ先生、コケを食う」盛口満著、どうぶつ社、2008年7月、ISBN978-4-88622-339-5、1500円+税


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【和田岳 20081030】【公開用】
●「コケの謎」盛口満著、どうぶつ社

 御存じゲッチョが、今度はコケについて書いた本。導入はいつもと同じ授業風景。いろんな生き物屋がいるという話からコケ屋の話が始まる。コケ屋のキムラにであって、最初はコケ屋に興味があったゲッチョが、だんだんコケ自体に興味を持ち。キムラに付きまとっているだけだったのが、やがて独りでコケに立ち向かって行くようになる。一人のおじさんが、コケに目覚めて独り立ちしていく過程を描いた成長物語である。
 近年のゲッチョ本の中では、出色の出来。のみならず、コケの魅力を伝える本としてもいい出来。事実これを読んで、自分でも身近なコケを見てみたり、とりあえず標本にしてみようかと思ってしまったくらい。

 お薦め度:★★★  対象:コケって顕微鏡とかでのぞかなあかんし、興味はあるけど、ちょっと面倒、と思っている人

【魚住敏治 20081028】
●「コケの謎」盛口満著、どうぶつ社

 言うまでもないことですが、この本を読んだからといって、けっしてコケのことが同定出来るようにはなりません。でもいかにしてコケ屋よいう病にかかり、どのようにして重病になっていくかがなんとなく解るような気がします。それにしてもコケの勉強にはどれだけ良い人に知り合うかが大切なんですね。
 各ページには物語の進展のなかでコケって何?とか、どんな場所に生息しているのか、アーバンモスの特徴はどういうところにあるのかなんてことも書かれていますので、肩がこることもなく、なんとなく読んで得をしたような気になれる一冊です。

 お薦め度:★★★  対象:コケって難しそうと思っている方

【高田みちよ 20081022】
●「コケの謎」盛口満著、どうぶつ社

 ゲッチョがコケの専門家、キムラさんと出会い、コケの魅力にとりつかれていく話。始めは顕微鏡がいるのかぁ、と敬遠していたコケも、キムラさんの解説で面白くなっていく。コケを味わってみたり、匂ってみたり。どこの都会にも普通に生えると思われていたギンゴケが沖縄になかったり。最後には敬遠していた顕微鏡観察をするようになり、コケに話しかけるようになり…。
 しかしこの本、一番読者に伝わるのはコケの面白さよりも「キムラさんはすごい!」ということではないだろうか。

 お薦め度:★★  対象:コケ〜?な人に

【萩野哲 20081021】
●「コケの謎」盛口満著、どうぶつ社

 著者は、生き物屋たちと森で遊んだ折にその中でもコケ屋の風体が気になったのを機にコケに興味を持つ(病に罹る)。コケを同定するには顕微鏡の手を借りる必要がある、しかし標本作成は簡単・・・コケはまずい、でもその中でもいろんな味がある・・・と著者がコケにのめりこんでいく過程が伝わってくる。そして、まだきちんと同定はできないけれども、「なぜ君はここにいる?」と言える(コケを見て森を見る)境地に達した。盛口氏のコケ病の経験を記した著作であるが、十分にコケ入門書として活用できる。

 お薦め度:★★★  対象:生き物屋

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