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本の紹介「寄生虫の世界」

「寄生虫の世界」鈴木了司著、NHKブックス、1996年3月、ISBN4-14-001764-3、1020円+税


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【中条武司 20041030】【公開用】
●「寄生虫の世界」鈴木了司著、NHKブックス

 現在日本ではあまり気にすることのなくなった寄生虫。でもこの本を読むと、まだまだ周りには寄生虫による病気は蔓延しているし、油断できないものだとわかる。海外に出かける機会の多くなった私たちは今までは人が踏み込まなかった地域まで活動圏を広げているし、免疫不全から発症する日和見感染はまさに現在の寄生虫症だろう。一方、それらの解明のために命をかけ寄生虫に自ら感染する寄生虫研究者の研究欲・使命感もすさまじい。
 でもこの本を読んで気にしはじめたら、刺身は食べられないし、海でも川でもプールでも泳げない。ましてや生き物を触って採集なんて・・・・。

 お薦め度:★★★  対象:寄生虫について勉強したい人。生き物を触る人は読んでおいた方が良いかも

【西川裕子 20041004】
●「寄生虫の世界」鈴木了司著、NHKブックス

 身の回りに存在する、寄生虫とその病気、進入経路についての本。お腹にわく虫だけでなく、性感染、日和見感染、経口感染、接触感染など、いたる所に寄生虫の陰が潜んでいることがわかる。再三に渡って、生モノにはこんな寄生虫が!そしてこんな病気に!と述べられると、食べ物に対して少しばかり疑心暗鬼。至極真面目に寄生虫の特性と研究のエピソードが並べられているのでトピックスを楽しみたい人には不向き。

 お薦め度:★★  対象:寄生虫について勉強したい人向け、自分の身体で寄生虫を飼ってみたいと思えるくらい剛胆ならなおよし

【和田岳 20040817】
●「寄生虫の世界」鈴木了司著、NHKブックス

 40年以上にわたって、寄生虫の研究と寄生虫症のコントロールに従事してきた著者が、自らの経験を元に、人体の寄生虫について紹介した本。大部分は著者の専門の内部寄生虫の話題。吸虫、条虫、線虫の話題が満載。寄生虫の検査や調査に関わるこぼれ話も多いが、中でも命がけでみずからを実験台にして研究する寄生虫研究者にはビックリ!
 性感染、ペットから感染、あるいは虫に刺されて感染と、一通りの話は出てくるが、興味深いのは食べ物から感染する寄生虫と、水の中で感染する寄生虫。この本を読む限り、生の肉を食べる時は、寄生虫に感染する覚悟をしろってことらしい。とくに生の淡水貝・陸貝や野生動物の肉を食べたりしないこと。スッポンの生き血を飲むなんてもってのほか。
 さらに、水の中に入ったり、手にのせたりするだけで皮膚から感染する寄生虫もいるらしい。神経質になってたらなんにもできないので、それに幸い日本では本当に危険な寄生虫は大部分駆除されているそうなので、まあそれなりの危険があるのを意識しておけば充分。

 お薦め度:★★★  対象:寄生虫について知りたい人、でもあまり神経質な人は読まない方がいい

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