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本の紹介「風にのれ! アホウドリ」

「風にのれ! アホウドリ」長谷川博著、フレーベル館、1995年6月、ISBN4-577-01489-0、1553円+税


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【六車恭子 20040203】
●「風にのれ! アホウドリ」長谷川博著、フレーベル館

 1976.11.17、一人の青年が初めて伊豆大島から21時間、船酔いに苦しめられながら鳥島来訪、アホウドリと対面した記念すべき日です。かって羽毛ふとんの材料にとり尽くされ、1949年には「アホウドリ絶滅宣言」まで出されて、累計捕獲総量は500万羽ともいわれています。しかし1951年に鳥島測候所の人が10羽そこそこのアホウドリの生き残りを目撃しました。国の天然記念物に指定して保護の手はのびましたが、火山島ゆえの非運、その後のアホウドリの消息は途絶えていました。1973年イギリス人ランス・ティッケル博士が島を訪れ24羽のひなの成育を報告しています。そして著者とティケル博士の出会いがこの「アホウドリ保護活動」の導火線となりました。コロニーにハチジョウススキを植えたり、安全な新コロニーに導くための「デコイ作戦」や誕生したひなは足輪を付けて識別し、アホウドリの生態が次々に明かされてきました。苦しい筈の無人島暮らしを支えたのは、美しい自然とゆききする著者のおおらかさと、アホウドリによせる熱情だったでしょうか。ここには一つの思いが次々と伝番し、おおきなうねりとなって結実していった4半世紀の経緯がある。アホウドリがいつの日にか「海にひろがる」ことを願う祈りがある。

 お薦め度:★★★★   対象:夢が翼を獲得するための必読書

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