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本の紹介「川はどうしてできるのか」

「川はどうしてできるのか」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス、2014年10月、ISBN978-4-06-257885-1、860円+税


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【萩野哲 20141214】【公開用】
●「川はどうしてできるのか」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 「山はどうしてできるのか」、「海はどうしてできたのか」の続巻。今回は川の成り立ちを謎解きの形式で綴っている。この本を読んでいくつかの発見があった。その1.川とは必ずしも水が流れているとは限らないこと。その2.川は海にそそいでからも、海底谷を経て海溝に達しているのだ。その3.川は意外に大陸が分裂する前の流路を保っていること。大陸分裂の前は今よりもはるかに壮大な川が存在したのだ。その延長として、最後に著者は3つの大胆な仮説を提示している。すなわち、@天竜川はウスリー川とつながりロシアから流れていた!! Aアマゾン川はニジェール川から逆方向に流れていた!! B大陸には3大河ができる!! 本当?!

 お薦め度:★★★★ 対象:壮大な地球の歴史の一端に触れたい人

【中条武司 20150226】
●「川はどうしてできるのか」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 「川はどうしてできるのか」というタイトルを銘打っているが、どちらかといえば「川はなぜその場所を流れているのか」という方が内容的にはふさわしい。13の川の謎(実際にはもうちょっと多い)を解きつつ、川がなぜその場所を流れているのかを解説している。南極の氷河の下の「水の」川、火星の川などちょっとお目にかかれないような川の話もある。最後の章の3つの仮説は、かなり眉唾なところはあるが、妄想話として聞く分にはまあいいのかな。

 お薦め度:★★ 対象:川と地形を読み解く基礎として

【西村寿雄 20141217】
●「川はどうしてできるのか」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 目の前にある川が「どうしてできたのか」などというテーマは地質学の知識が少しある人にはだいたいの推測がつく。しかし、その常識に挑戦して、個々の検証にとりかかったのが著者。ユニークな視点で川の謎にせまっていく過程には読者も思わず引き込まれていく。〈謎〉の多くは河川の流路にまつわる疑問。〈揚子江と黄河は、どうして大きく分かれて蛇行したのか〉〈ヒマラヤ山脈を乗り越えている河川があるがどうして乗り越えたのか〉〈なぜ富士山に川はないのか〉〈海の底にも川はある〉〈南極の地下にも川はあるのか〉など、いくつもの川の謎解きが楽しめる。そのあと川が作り出すさまざまな地形の話しに続く。最後は〈天竜川の源流はアジア大陸か〉など、川についての大胆な仮説が並ぶ。

 お薦め度:★★★★ 対象:川の成り立ちに関心ある人、高校生以上

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