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本の紹介「化石から生命の謎を解く」

「化石から生命の謎を解く 恐竜から分子まで」化石研究会編、朝日新聞出版、2011年4月、ISBN978-4-02-259977-3、1500円+税


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【萩野哲 20111027】【公開用】
●「化石から生命の謎を解く」化石研究会編、朝日新聞出版

 化石にまつわる20の話題を化石研究会のメンバーが紹介した本である。「化石を研究する」のではなく「化石で研究する」をスタンスとして、絶滅生物の形態や生活の復元、起源と進化の探索、微細構造の生成を切り口として、様々な手法を駆使した、化石が解き明かす生命の歴史の謎を垣間見る事ができる。読者はこれらの中で、何か心に残る話題が見つかるであろう。進化の過程で獲得した石灰化機構の得失は、私にとっては深く心に残るそのような話題のひとつであった。

 お薦め度:★★★  対象:化石を通して進化を考え直したい人

【中条武司 20111027】
●「化石から生命の謎を解く」化石研究会編、朝日新聞出版

 化石研究会が設立50周年の記念として、所属する研究者などに古生物学の現在の状況について書かれた本である。内容は脊椎動物に偏っており、微化石や無脊椎動物などの紹介は割合的に少ない。これは研究会の構成メンバーによるものだろうが、古生物研究全体の現状を示しているようには余り思えない。また、古生物そのものの研究の紹介がほとんどで、そこからわかる地球の歴史や表題にある生命の謎にはあまり踏み込まれていない。書き方などにもよるのだろうけど、知らないことが書かれているはずなのに、知的好奇心が高まるような本ではあまりなかった。

 お薦め度:★★  対象:古生物研究の一部を知りたい人向け

【和田岳 20111028】
●「化石から生命の謎を解く」化石研究会編、朝日新聞出版

 19人の化石研究者が、自分の研究を、研究エピソードを交えて次々と紹介していく。研究の手法や進み方を具体的に紹介しようとしつつ、難しすぎないように心がけられている様子。さわりしか紹介していないという不満もありそうだが、素人にわかりやすく書かれている。
 「化石を研究する」から「化石で研究する」への転換というフレーズが出てくる。なんとなく化石研究と聞くと、発掘された化石の種を同定・記載したら終わりというイメージを持ってる人もいるかもしれないが、そうではないさまざまな化石研究があるのが分かる一冊。

 お薦め度:★★★  対象:化石に少し興味のある人

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