友の会読書サークルBooks

本の紹介「乾燥標本収蔵1号室」

「乾燥標本収蔵1号室 大英自然史博物館 迷宮への招待」リチャード・フォーティ著、NHK出版、ISBN978-4-14-081473-4、2011年4月、2500円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。

[トップページ][本の紹介][会合の記録]


【和田岳 20111223】【公開用】
●「乾燥標本収蔵1号室」リチャード・フォーティ著、NHK出版

 長年、大英自然史博物館に勤めてきた古生物学者が、大英自然史博物館の裏側を紹介した一冊。博物館で働く人は、予想通り変人ばっかり。とくに昔のスタッフは、館内で密造酒を造ったり、昼間から酒を呑んでいたり、セクハラオヤジだったり。今なら解雇されそうなのも少なくない。ピルトダウン人、ネッシー騒動など醜聞も色々。
 一方で、世界をリードする分類学的研究が進められてきたのも確か。ただ、世界に冠たる大英自然史博物館も、近年は予算削減で純粋な分類学的な研究は危機に立っているらしい。大英自然史博物館よお前もか。
 生物多様性の危機が叫ばれる現在、分類学の重要性は一層高まっているはず。この本を読んで、分類学をいかに守るかを考えるきっかけになってくれればと思う。

 お薦め度:★★★  対象:大英自然史博物館と生物多様性に興味のある人

【萩野哲 20110822】
●「乾燥標本収蔵1号室」リチャード・フォーティ著、NHK出版

 博物館の使命や研究内容を紹介している書籍は今では数多くあり、それでも大英自然史博物館なので特別な何か(例えば他に並ぶもののない収蔵品)があるのか期待して読んだところ、当然その内容もあるものの、中心に据えているのは博物館をめぐる人間模様であり、結構マイナスの記述も多い。“圧巻”は変人列伝であり、イワシ専門家のホワイトヘッドもその一員であったようである。著者はどうなんだろう?
 私は過去3回大英自然史博物館を訪問したことがあり、お世話になったブルックス博士の名前が挙がっていてうれしい。あのドードーの標本は作り物だったのか・・・。

 お薦め度:★★★  対象:“大英自然史博物館“に興味を持っている人および博物館の学芸員

[トップページ][本の紹介][会合の記録]