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本の紹介「カモシカと進化をめぐる冒険」

「カモシカと進化をめぐる冒険 山の上の生存戦略」高田隼人著、文一総合出版、2025年11月、ISBN978-4-8299-7262-5、2000円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。

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【森住奈穂 20260626】【公開用】
●「カモシカと進化をめぐる冒険」高田隼人著、文一総合出版

 カモシカはシカではなく、ウシ科ヤギ亜科。山岳地帯に暮らしている。本書は長野県と群馬県の県境に位置する浅間山麓で、大学3年生から博士号をとるまでの7年間、ひたすらカモシカを追いかけるフィールドワークのお話し。森林帯、高山帯、それぞれのカモシカを追いかけ、「フリーズ」という対捕食者戦略、なわばりや配偶システムに種内変異があることなど、進化をめぐる謎を解明してゆく。臆病なカモシカだが崖では性格が一変、超強気になるのが面白い。一人で、または仲間たちと、個体識別し発信機を付け、ひたすら行動を観察。著者は有蹄類ヲタクを自認しているが、何よりフィールドワークが大好きな人である。

 お薦め度:★★★  対象:カモシカってボーっとしてんな、と思っているひと
【西村寿雄 20260413】
●「カモシカと進化をめぐる冒険」高田隼人著、文一総合出版

 本書はカモシカの解説書というより、著者がカモシカ研究に取り組んできた経緯をドキュメンタリー風に綴っている。しかし、その中にカモシカの生態が浮かび上がってくる。文は読みやすく小学生でも高学年からは読める。
 カモシカは少し高山の森林地帯によく単独で生息している。「ウシ科」の動物で人が近付いても襲う事はなくおとなしい性格の動物である。山岳地帯の森林に生息し原始性を保つカモシカは「生きた化石」だと著者は言う。カモシカも群れをつくることもある。最後に研究成果は論文にまとめる大切さを語って終わっている。

 お薦め度:★★★  対象:里山の哺乳動物に興味ある人
【和田岳 20260417】
●「カモシカと進化をめぐる冒険」高田隼人著、文一総合出版

 先生に言われて始めたニホンカモシカ研究。 そんなカモシカ研究者の若き日の奮闘とカモシカの生態を、若者言葉(?)多めで記した一冊。
 浅間山での調査の最初は、カモシカを見つける練習、個体識別。フリーズが生じるパターンの研究。テレメトリーでの個体追跡で、なわばりや配偶関係の研究。カモシカの社会が地域によって変わる可能性を見出す。続いて、浅間山の高山草原で集団で見られるカモシカの調査。草原のカモシカにグループの形成に、単独性から集団性への偶蹄類の社会進化の萌芽を見る。
 偶蹄類の社会の進化研究として、とても面白い。もう一つ面白いのは、フィールドで行動観察を積み重ねるローテク中心の研究手法。お気に入り論文、愛読書といい1980年代に院生時代を送ったかと思った。

 お薦め度:★★★  対象:ニホンカモシカについて知りたい人
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