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本の紹介「海洋プラスチック汚染」

「海洋プラスチック汚染 「プラなし」博士,ごみを語る」中嶋亮太著、岩波科学ライブラリー、2019年9月、ISBN978-4-00-029688-5、1400円+税

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【中条武司 20191218】【公開用】
●「海洋プラスチック汚染」中嶋亮太著、岩波科学ライブラリー

 近年話題の海洋プラスチック問題。プラスチックはリサイクルが言われているけど、世界で生産されるプラスチックの91%は焼却、埋立、そして自然環境に入り込んでいるそうだ。そして多くが海に流れ出し、遠くない未来には海の中には魚よりプラスチックの方が量が多くなるそうだ。しかも海に流れ出たプラスチックの99%はその行方がわからず、生物に取り込まれたり、深海や浜辺の堆積物となっていく。何か何までもうどうしようという感じの海洋プラゴミ問題だけど、少しでも私たちの生活を変えていくしかないのかなという月並みな結論になってしまう。中学生以上なら読める平易な文章なので、どんな人向けというより、多くの人に読んで欲しい。

 お薦め度:★★★★  対象:多くの人に
【西本由佳 20191218】
●「海洋プラスチック汚染」中嶋亮太著、岩波科学ライブラリー

 海洋に流出するプラスチックの量は膨大で、このままいくと海の魚の量を超えるとさえ言われる。排出は必ずしもポイ捨てだけでなく、出したゴミの不適切な管理や洗浄剤の添加物、漁具の投棄など、多岐にわたる。海流に乗って集まったり、付着物質の重みで深海に沈んだり、粉々になって魚などに飲み込まれたりと、行き先も様々だ。クジラやウミガメ、海鳥などが飲み込み、消化器に詰まって死んでしまうのはとても痛ましい。マイクロプラスチックを摂取した魚や貝類を食べることによって人体への影響も懸念される。どこから手をつければいいか難しい問題だが、著者は使い捨てプラスチックをなくしていくリデザインに期待を寄せる。一消費者として考えさせられた。

 お薦め度:★★★  対象:プラスチックを消費している人
【西村寿雄 20191204】
●「海洋プラスチック汚染」中嶋亮太著、岩波科学ライブラリー

 プラスチック・・燃やせばおしまいと考えていたが、意外にも地球環境を汚している。おびただしい数のプラスチック、便利さと低廉さにまかせて拡大の一路をたどっているが、いよいよその価値を本当に考える時が来たようだ。おびただしい数の産業廃棄プラスチック、日常消費プラスチックが意外にも海に流れ込んでいる実態が次々と明らかになる。プラスチックは強くて丈夫と思いきや太陽光による自然劣化が進み、やがてマイクロプラスチックとなる。それらは分解されることなく、恐ろしい数で深海にも沈み込んでいるという。海水中に溶けたマイクロプラスチックや化学物質は魚類に濃縮されていく。袋や糸状のプラスチックによる魚の被害はしばしば報告されているが、マイクロプラスチックによる被害報告はまだあまりない。それだけにこれから恐ろしい被害が推測される。いくつもの解決方法が各国で模索されている例も示されている。プラスチック、ペットボトル製品依存生活からの脱却が示される。

 お薦め度:★★★★  対象:すべての人
【萩野哲 20191204】
●「海洋プラスチック汚染」中嶋亮太著、岩波科学ライブラリー

 世の中、海洋プラスチック汚染の問題がクローズアップされ、プラスチック削減が推進されているが、実際、どのような状況なのか?を知るために最適の書籍。プラスチックとは何か?どれだけ生産されているのか?プラスチックの何が問題なのか?使い捨て文化、環境での安定性、考えられる害、など。最もショッキングなのは、今、海にあるプラスチックはほとんどなくならないだろうという予想である。もちろん、これから出るプラスチックは蓄積していく一方である。それでは、プラスチックごみの発生を最小限にするにはどうしたらよいか?最も重要なのは削減、特に使い捨てプラスチックをなくすことだ。著者が立ち上げている「プラなし生活」にもいろんなヒントが示されている。この本で紹介されているのは、削減(Reduce)、再使用(Reuse)、リサイクル(Recycle)の3Rだが、もう1つのR、断る(Refuse)も大事だ。今すぐ自分たちでもできることを実行に移そう。

 お薦め度:★★★★  対象:海洋プラスチック汚染を知って真剣に取り組みたい人
【六車恭子 20200221】
●「海洋プラスチック汚染」中嶋亮太著、岩波科学ライブラリー

 日本はおもてなし文化なのか「包装」に使うプラスチックの量がもっとも多く、その91パーセントはリサイクルされていないという。海に漏れだしたプラスチックの多くは世界の大洋をぐるりと一周する海流にのって集積するループがあり、グレートパシフィックごみパッチとして有名だという。微細化し5ミリ以下のマイクロプラスチック となり、マリンスノーとして深海に運ばれ、底生動物が飲み込んでいるようだ。プラスチックの添加剤はその分解産物もあわせて人や生物に有害な物質が含まれている。それゆえプラスチックは化学物質のカクテルと呼ばれる所以だ。
 海にプラスチックを漏れださせないようにするには排出源をコントロールしなければならない。今や使い捨て廃止、禁止するのは世界のトレンド。三R(削減、再使用、リサイクル)を推進が推し進められている。個人のライフスタイルもマイバック、マイボトル、給水ステーションの設置等々。
 海のブラスチック問題は未来の世紀を生きる私たちは子孫への最大の愛のメッセージとなる懸案だろうか。

 お薦め度:★★★★  対象:過去の過ちから脱却したい人
【和田岳 20191216】
●「海洋プラスチック汚染」中嶋亮太著、岩波科学ライブラリー

 近頃話題の海洋プラスチックの問題。ウミガメや海鳥がプラスチックを食べて死んでいたとかいうニュースを聞かされて、気になるけど、本当のところはどうなんだろう? と思ったらオススメの一冊。海のプラスチック問題の全体像が要領よくまとめられている。
 増加し続けるプラスチック生産量と、ほとんど進んでいないリサイクルの現実。そして海に供給され続けている膨大な量のプラスチック。大量のプラスチックが漂う海に、深海にも沈んでいるレジ袋。捨てられた漁具に絡んで死ぬ海洋生物、浮かんでるマイクロプラスチックを食べて死ぬ海鳥、私たちが口にする海産物にまでプラスチックが混じる。
 リサイクル率が高いと言いはってる日本が、嘘だらけのイマドキの日本らしく、数字は水増しで、中国や東南アジアにプラスチックゴミを押しつけてるだけって事実…。生分解性プラスチックは、海では分解されないという衝撃の事実…。そして、洗濯するだけで、海にマイクロプラスチックを供給してしまう私たちの暮らし。いったいどうすればいいの〜?
 海岸や海に浮かぶプラスチックゴミを取り除くのは、多少の効果しかない。とにかくプラスチックの生産量を減らしていかなくては、という指摘。一人当たりのプラスチック消費量がアメリカに次いで世界2位という日本。とりあえず、一人一人がプラスチックの使用量を減らすことから始める必要がありそう。レジ袋は断って、マイボトルを持ち歩こうかな。

 お薦め度:★★★★  対象:多少でも環境問題に関心のある人、っていうかプラスチック使ってる人全員!
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