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本の紹介「カイアシ類学入門」

「カイアシ類学入門 水中の小さな巨人たちの世界」長澤和也編著、東海大学出版会、2005年9月、ISBN4-486-01673-4、3200円+税


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【萩野哲 20060208】
●「カイアシ類学入門」長澤和也編著、東海大学出版会

 カイアシ類(いわゆるケンミジンコの仲間)は、海産動物プランクトン中最も種数が多く(数千種)、もちろん個体数も多く、食物連鎖の重要な鍵となる生態的に重要なグループであるのみならず、ベントスや寄生性種もあり、多様な生活を営んでいる。本書は、この多様なカイアシ類の生活の基礎知識から最先端の研究までを読者に興味を持たせるよう(後継者を育てる目論見を持って)構成されている。I部カイアシ類の基礎知識(3章)、II部海洋プランクトンとしてのカイアシ類(7章)、III部淡水・汽水プランクトンとしてのカイアシ類(5章)、IV部ベントスとしてのカイアシ類(3章)、V部寄生生物や宿主としてのカイアシ類(3章)と、21人の著者が語る話題も多様である。カイアシ類の教科書として使えるのみならず、著者たちの研究を通じての驚き(読んでいる方はもっと驚く)が伝わってくる。ひとつだけ例を挙げると、第9章のイワシクジラの胃に詰まったネオカラヌスの写真がその代表である。

 お薦め度:★★★★  対象:生物の多様性に関心がある人

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