友の会読書サークルBooks

本の紹介「カイアシ類・水平進化という戦略」

「カイアシ類・水平進化という戦略 海洋生態系を支える微小生物の世界」大塚攻著、NHKブックス、2006年9月、ISBN4-14-091069-0、1071円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]

【和田岳 20070817】【公開用】
●「カイアシ類・水平進化という戦略」大塚攻著、NHKブックス

 カイアシ類といえば、よく知られているのはケンミジンコの仲間。てっきり淡水の動物かと思いきや、その分布の中心はむしろ海。海で大繁栄しているグループなのだ。我々が食べている多くの魚は、カイアシ類を食べて暮らしていると言ってもいいくらい。密かに我々の生活との関わりも深いのだ。さらに寄生性の種も多く、種数の多さ、現存量の多さ、生活史・形態の多様性、どれをとっても恐るべき存在なのだ。
 第1章は、カイアシ類の進化の歴史が語られる。おもしろいけど、進化に興味の少ない人には退屈かも。第2章以降は、進化を意識しつつも、カイアシ類の多様な形態・生態が紹介される。生物の多様性に興味があるなら、かなり楽しめるはず。

 お薦め度:★★★  対象:生物の多様性に興味のある人、へんな生き物好きにも

【萩野哲 20070815】
●「カイアシ類・水平進化という戦略」大塚攻著、NHKブックス

 カイアシ類は動物プランクトン最大のバイオマスを誇るが、量のみならず質の面でも生態系の中で最も多様な生活様式を持っているらしい。本書は歴史的な観点からカイアシ類の進化を論じることを軸に、その結果分化した、寄生性の種や毒牙を持った種等、様々な生き様を紹介している。

 お薦め度:★★★  対象:進化に驚く快感を味わいたい人

[トップページ][本の紹介][会合の記録]