友の会読書サークルBooks

本の紹介「異端の植物「水草」を科学する」

「異端の植物「水草」を科学する」田中法生著、ペレ出版、2012年8月、ISBN978-4-86064-328-7、1700円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。

[トップページ][本の紹介][会合の記録]


【萩野哲 20130424】【公開用】
●「異端の植物「水草」を科学する」田中法生著、ペレ出版

 一旦陸に上がりながら、再び水中に戻った植物「水草」。実は、特異な分類群のみが戻ったのではなく、多岐にわたる分類群から「水草」は進化している。なぜ水中に戻ったのか?なぜ水中で生きられるのか?どのように繁殖するのか?本書は、このような水草の興味深い適応と分布、そして衰退の現状が要領よくまとめられている。特に、水中にいることを利用した繁殖方法の進化には舌を巻く。更には水草と人間の関わり合い、保全についても触れられている。水草にまつわるトピック、水草の位置を示す植物の系統樹、世界の水草リスト、水草の観察法などが付録されており、便利である。

 お薦め度:★★★  対象:水中でたくましく生きる水草の魅力を知りたい人

【田中久美子 20121221】
●「異端の植物「水草」を科学する」田中法生著、ペレ出版

 身近にけっこういる割に水草を意識したこともないし、水草ってどんなものかと言われても、具体的には答えられない。その水草がどんなものか、詳しく解説してくれている。”科学”とはDNA解析のことで、それによって、陸に上がった植物が水生へと進化する過程が明らかになったり、離れた場所に生育する水草が実は近縁だったりという事が解る。
 それ以外にも、水草がなぜ水中で生きていけるのかとか、水草特有の水媒による授粉についても詳しく説明してくれてる。研究の成果、これからの課題−水草をどうやって守っていくかも含めて、水草のことがよくわかる。水草って不思議で面白いと思わせてくれる本です。巻頭の写真もきれい。

 お薦め度:★★★★  対象:水草のことを知りたい人

【和田岳 20130425】
●「異端の植物「水草」を科学する」田中法生著、ペレ出版

 国立科学博物館の水草屋さんが、水草について書いた本。水草の定義と進化に始まり、水中での暮らし、繁殖、分散、人による利用、保全を順に紹介。
 著者は、水草の繁殖(とくに送授粉)と分散が専門というだけあって、そのパートは力が入っていて面白い。水の中で花を咲かせて、どうやって花粉をめしべに届けるのか? 水面や水中で起きてる出来事はとっても不思議。海流に運ばれるアマモ、渡り鳥が運んでるんじゃないか?と想像されているカワツルモの話も興味深い。

 お薦め度:★★★  対象:水草が気になる人

[トップページ][本の紹介][会合の記録]