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本の紹介「ホタルの木」

「ホタルの木」大場信義著、どうぶつ社、2003年5月、ISBN4-88622-321-4、1600円+税


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【六車恭子 20031218】【公開用】
●「ホタルの木」大場信義著、どうぶつ社

 皆さんはどのくらいホタルのことを知っていますか。発行生物研究の第一人者による世界のホタル見聞録の趣きがある。
 ホタルは「光る」ことでオスとメスが出会う、光らないホタルは匂いによって相手の存在を知る。ホタルの木は彼らの出会いの場であり、有毒生物に擬態する生き物や捕食者たちの饗宴の場でもある。「ホタルの木」現象は地球の奇跡とも言える繊細で絶妙なバランスで保たれているようだ。その「ホタルの木」が森林伐採や環境破壊により消えようとしているのだ。
 著者の長年の研究の成果だろうか、世界に点在する「ホタルの木」でつかのま生を謳歌する発光の軌跡がこれでもかこれでもかと本のページを埋め尽くして圧巻だ。
 
 お薦め度:★★★  対象:自然界の驚異コレクターは特に

【瀧端真理子 20030804】【HPのみ公開用】
●「ホタルの木」大場信義著、どうぶつ社

 ファンタジックな装丁の中に、筆者のこれまでの研究成果と貴重な写真の数々を盛り込み、環境保全の必要性を静かに語る本。世界各地のホタルのイルミネーション、陸生巻貝を食べるムナキキベリボタルの幼虫、ミヤコマドボタルのオスなど、まずその美しさに見とれる。
 ゲンジボタルの集団同時明滅を調べると、西日本と東日本で発光間隔が異なること、パプア・ニューギニアのエフルゲンスは「ホタルの木」に絶え間なく集合し、生息密度を高めてオス・メスの出会いの機会を高めている、などなど、筆者のライフワークが一般向けにやさしく解説されている。ヤスデの頭部から関節を順次はずして食べてしまうイリオモテボタルの幼虫、擬態する昆虫類など楽しい話題も盛り込まれ、さわやかに読み終わることができる。
 
 お薦め度:★★★★  対象:手に取った人なら誰でも

【和田岳 20031024】【HPのみ公開用】
●「ホタルの木」大場信義著、どうぶつ社

 ホタルの木とは、あの光を放つ甲虫であるホタルが集まる木のこと。夜、ホタルの大群が木に集まって、一斉に光る光景はとても美しいといいます。本の中にもまるでクリスマスツリーのようなホタルの木の写真が何枚も紹介されています。写真集のようなスタイルで、写真を中心に解説文が少しずつ配置されているので、熱帯の夜に思いをはせつつ、パラパラと眺めるのがいいでしょう。
 残念ながら、日本ではホタルの木は見られません。実物を見るには東南アジア等にでかける必要があります。さらに残念なことに、そのホタルの木も熱帯雨林やマングローブの開発によって、年々減少してるといい、ホタルの木の保全についてもふれられています。
 
 お薦め度:★★  対象:ホタルの木って何?と思った人

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