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本の紹介「哺乳類の興隆史」
「哺乳類の興隆史 恐竜の陰を出て、新たな覇者になるまで」スティーブ・ブルサッテ著、みすず書房、2024年7月、ISBN978-4-622-09701-3、3900円+税
【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
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【萩野哲 20250614】【公開用】
●「哺乳類の興隆史」スティーブ・ブルサッテ著、みすず書房
トカゲに似た祖先から哺乳類の系統が分かれたのは石炭紀中期(3億4千万年前)に遡る。単弓類、獣弓類、キノドン類を経て、三畳紀には複雑な顎関節などの革新的な特徴を進化させた哺乳類が出現したが、恐竜の大型化・多様化によって小型の維持を余儀なくされた。しかし、その間、哺乳類は体毛と内温性、授乳、耳小骨などを着々と進化させていた。そして、運命の小惑星の衝突により、鳥類以外全滅した恐竜と異なり、哺乳類の多くの枝は刈り払われたものの、生き残った。
恐竜以後、哺乳類は暁新世/始新世境界温暖化極大期(PETM)の三傑(霊長類、偶蹄類、奇蹄類)や、クジラ、ゾウ、コウモリなどの極端なグループに多様化し、哺乳類の時代をつくったが、その1種に過ぎないヒトが最近現れ、地球に影響を及ぼし、近縁な仲間を絶滅またはそれに近い状況に追い込んでいる。本書は、哺乳類の歴史を気候変動などを含め詳細に記述するだけでなく、その歴史を解明していった人たちの紹介にも重点が置かれていて内容を深めている。
お薦め度:★★★ 対象:哺乳類が発展してきた歴史を詳し〜く知りたい人
【里井敬 20250820】
●「哺乳類の興隆史」スティーブ・ブルサッテ著、みすず書房
哺乳類の特徴は顎の骨とそこから進化した耳小骨。恐竜が栄えていた中生代に哺乳類も現れたが恐竜が大型化したのに対して、小型のままで多様化した。6600万年前、惑星の衝突があり大型の恐竜は滅んだが過酷な自然条件下、鳥類・は虫類・両生類、暗くて不潔な場所でゴキブリ型哺乳類も生き延びた。寒冷化、温暖化を繰り返し、多くの進化と絶滅があった。ヒトもその中の一つの種である。440万年前ヒトの仲間が現れてから、アフリカで誕生した現在のホモサピエンス以外にも多くの仲間が生まれた。アフリカで生まれたホモサピエンスはヨーロッパのネアンデルタール人、アジアのデニソワ人と交配したことはDNAから分かっているが、4万年前にはホモサピエンス以外は絶滅している。直近の大絶滅は5万年前に起こり、多くの哺乳類が姿を消しているが、はっきりとした原因は分かっていないが、ホモサピエンスが原因ではないかと言われている。今、温暖化の速度は急で哺乳類の絶滅は続いている。人類は絶滅するのか?進化するのか?
お薦め度:★★★ 対象:恐竜も好きだけど哺乳類の化石にも興味がある人
【中条武司 20251218】
●「哺乳類の興隆史」スティーブ・ブルサッテ著、みすず書房
哺乳類が誕生した三畳紀(実際にはそれ以前の石炭紀)から現在まで、本のタイトル通りの哺乳類の興隆・・・だけではなく、衰亡も含めての歴史が書かれている。著者が大好きだった恐竜から哺乳類の研究に変わっていく過程も(恐竜研究をやめたわけではなさそうだけど)共に書かれており、研究者の変遷も見てとれるのが面白い。今の哺乳類からは想像もつかないような化石を見つけ、時には数mmに満たないような骨の欠片から新たな発見を見いだす。まだまだ哺乳類化石研究にはたくさんのテーマが転がっていそう。
お薦め度:★★★ 対象:化石好きな人
【和田岳 20250626】
●「哺乳類の興隆史」スティーブ・ブルサッテ著、みすず書房
哺乳類化石屋が、哺乳類の起源から人の時代まで、石炭紀から鮮新世までの哺乳類の系統進化を、最新の知見に基づいてたどった本。
石炭紀に双弓類と単弓類が分かれ、哺乳類に連なる単弓類である獣弓類の時に、おそらく内温性と体毛が獲得されたらしい。そして三畳紀に、顎に歯骨-鱗状骨関節をもつ最初の哺乳類が出現する。小型ながらも中生代の間も哺乳類は繁栄しており、ハラミヤ類という滑空する哺乳類もいた。
恐竜の絶滅の後、北半球と南半球では独自の哺乳類相が発展していたが、南北がつながる中で、南米でもアフリカでも、独自グループの多くが絶滅した。巨大ナマケモノ!草食動物として適用放散した多様なハイラックス類! ヒトの出現とともに巨大哺乳類(メガファウナ)の多くが絶滅した。そして現在、さらに多くの種が絶滅しつつある。
哺乳類の進化と多様性について、改めて勉強になる。絶滅する前に見てみたかった哺乳類がいっぱい。
お薦め度:★★★ 対象:哺乳類の系統進化を一通り勉強したい人
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