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本の紹介「ホモ・フロレシエンシス」

ホモ・フロレシエンシス 12000年前に消えた人類」(上・下)マイク・モーウッド&ペニー・ヴァン・オオステルチィ著、NHKブックス、2008年5月、(上)ISBN978-4-14-091112-9(下)ISBN978-4-14-091113-6、(上)971円+税(下)971円+税


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【加納康嗣 20081028】
●「ホモ・フロレシエンシス」マイク・モーウッド&ペニー・ヴァン・オオステルチィ著、NHKブックス

 2004年に、アジア大陸と一度も陸続きになったことのないフローレンス島に数十万年前あるいは100万年前に海を越えて移り住み、独自の進化を遂げた、ホビットと呼ばれる新種の人類ホモ・フロレシエンシスが発表された。身長1メートルで、脳容積が400ミリリットルにもかかわらず、複雑な石器を作り、小型ゾウやコモドオオトカゲを狩って縄文時代の1万2000年前まで生きていた。従来の人類学のパラダイム「ヒトがヒトである条件」を打ち砕く発見は、世界中に驚きを持って受け取られた。アウストラロピテクスと同じ身長と脳容積を持った人類が滅びることなく、アフリカでなくインドネシアに生きていた衝撃をいかに受け止めるか、認めるものと認めないものの国際的な大論争が巻き起こった。多地域進化説を信奉するグループは、現世人類の小頭症の病的な人骨であると主張して譲らない。インドネシアとオーストラリアの学者を中心に巻き起こった論争と非難合戦には、先進欧米諸国と、研究環境が遅れるアジア諸国の落差や感情的なものまでも孕んで今も続いている。新人類発見とその後の人間ドラマ、新しい人類化石が発見されたときに常に起こる病的(メールでは以下、文字化け)

 お薦め度:★★★  対象:人類進化に関心のある方

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