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本の紹介「放課後博物館へようこそ」

「放課後博物館へようこそ 地域と市民を結ぶ博物館」浜口哲一著、地人書館、ISBN4-8052-0656-X、1800円+税


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【中条武司 20050110】【公開用】
●「放課後博物館へようこそ」浜口哲一著、地人書館

 おそらく世間一般多くの人に思われている博物館と言えば、埃のかぶった展示品が並ぶ辛気くさい建物。いえいえ、博物館はそれだけではありません。みんなで地域の歴史や生き物を調べたり、その成果を展示にしたり、そんなことをするのも博物館の一面です。そんな「放課後博物館」を目指した平塚市博物館と学芸員・浜口哲一氏自身の活動を語った本書。生物に関する様々な分野を多くの人たちと調べ、博物館を中心に結びつける活動を活発に、かつ継続的に続けている浜口氏には同業者として頭の下がる思い。
 しかし、そのような活動を通じて得た浜口氏の求めるひとつの博物館像・学芸員像が本書では示されているが、ひとつの例としているわりにはかなり画一的な理想を求めている感が強い。様々な指向を持った学芸員および博物館に関係したアマチュア・研究者が有機的に結びついて、様々な博物館の方向性が示されるのではないだろうか。

 お薦め度:★★  対象:博物館活動に興味のある人(含む学芸員志望の大学生)

【六車恭子 20040911】
●「放課後博物館へようこそ」浜口哲一著、地人書館

 平塚の地で「放課後博物館」という理想の活動形態を求めて実践した四半世紀を総括した自分史であり、地域住民の力を引き出し結集しようとした裏方人としての誠実な社会教育の場からの優れた検証記録ともなっている。
 こらから博物館を作ろうとする人にも、わが街を愛し地域に根付く文化人たろうとする人にも、生き物と関わる喜びを語り合い実践する出会いの場が約束されていそうだ。従来の博物館に抱く堅苦しい文化の殿堂としてのイメージを払拭し、絶えず流動し変容する自然界へのまなざしを磨き、提言する活動態として捉えているところがいい。著者の「生きもの地図が語る街の自然」はこういう舞台裏で展開したのだと言う裏面史がここにはある。

 お薦め度:★★★  対象:究極の社会教育を自然を舞台に演じてみたい人

【和田岳 20040909】
●「放課後博物館へようこそ」浜口哲一著、地人書館

 平塚市博物館の学芸員の浜口哲一さんと言えば、知る人ゾ知るスーパー学芸員。昆虫や鳥から、植物、魚、漂着物まで、生物関係をなんでもこなしてしまう。さらに市民を巻き込んでの活動を展開することでも有名。そんな浜口さんが、平塚市博物館での活動を紹介しつつ、放課後博物館という一つの理想の博物館像を語った一冊。
 オープンしてからの約25年間の活動の中で、浜口さんは市民を巻き込んでさまざまな調査をしてきたらしい。淡水魚、鳴く虫、植物、漂着物、セミの抜け殻…、25年かけての事とは言え、よくこんなに活動する時間があったと感心させられる。
 近所にこれだけいろんな活動を展開している博物館があったら楽しいだろうなー、と思ったあなた、大阪市立自然史博物館でもいろいろやってるので、ぜひ参加してみてください。そのためには、まず友の会に入会しましょう!

 お薦め度:★★★  対象:博物館・社会教育施設及びその在り方・利用に興味のある人、あるいは博物館職員

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