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本の紹介「ヒトデとクモヒトデ」

「ヒトデとクモヒトデ 謎の☆形動物」藤田敏彦著、岩波科学ライブラリー、2022年8月、ISBN978-4-00-029713-4、1600円+税


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【森住奈穂 20221222】【公開用】
●「ヒトデとクモヒトデ」藤田敏彦著、岩波科学ライブラリー

 海辺のスター、ヒトデ。星形の姿かたちは有名だけど、暮らしや星形の謎など、「知ってるようで知らない」ヒトデを取り上げた本書。特にクモヒトデは知らないことばかり。冒頭に、本州周辺の深海にはクモヒトデのじゅうたん(およそ4兆個体!?)が敷かれている、と書かれていてまずびっくり。ヒトデの腕の先には目の機能があるらしいこと、口から胃を出して食事すること、子育てすること、知らなかった〜。ヒトデを食べる文化にも興味深々。いつか食べてみたいなぁ。

 お薦め度:★★★  対象:ヒトとはまるで違う生き方にびっくりしたいひと
【里井敬 20221219】
●「ヒトデとクモヒトデ」藤田敏彦著、岩波科学ライブラリー

 キョク皮動物は無脊椎動物だけど、内骨格。発生途中で現れる骨片が集まって柔らかくも硬くもなる殻(骨格)を作る。例外はあるが多くの種が5角形の構造になる。理由は良く分かっていない。ヒトデ、クモヒトデの生態を紹介しているが、一生の全体像が知られている種はほとんどいない。寿命は想像より長く数十年を超えるものも多い。

 お薦め度:★★★  対象:☆型生物が好きな人
【萩野哲 20221117】
●「ヒトデとクモヒトデ」藤田敏彦著、岩波科学ライブラリー

 星形動物は棘皮動物だけであり、本書はそれに含まれる現生5綱の内、ヒトデとクモヒトデ2綱を中心に、それらの姿、生活、繁殖について解説している。最大の謎である、なぜ五放射相称なのかについても、いくつかの仮説(縫合線説、摂食効率説、成長パターン説)を紹介しているが、いずれも決め手を欠いているらしい。相称性は左右相称→無相称→三放射相称→五放射相称の順で進化的したようなので、そこにヒントがあるかもしれない。棘皮動物の食用の可否はサポニン量だと聞いたことはあったが、ヒトデでもサポニンが少なく食用にできるものがあるのは吉報!食べてみたいなあ。

 お薦め度:★★★  対象:人手?が欲しい人
【和田岳 20221220】
●「ヒトデとクモヒトデ」藤田敏彦著、岩波科学ライブラリー

 クモヒトデ研究者によるヒトデとクモヒトデを紹介した一冊。というか、ウニ、ナマコ、ウミユリを含めた棘皮動物全体の解説書でもある。似て非なるヒトデとクモヒトデの違いも分かる。
 ひっくり返ると苦労するヒトデ、簡単に元に戻るクモヒトデ。胃の中や背中で子育てするヒトデ。クモヒトデは、胎生だったり、出産後は他種の子どももまとめて面倒みたり。
 ドームのトラップ仕掛けるヒトデ。泳いでいる魚を狩るクモヒトデ。お気に入りは、腕1本から生えてくるホウキボシ。ヒトデもクモヒトデも数十年、もしかしたら100年近く生きる例があるらしい。ちなみに、ヒトデはサポニンを多く含んでいることが多いので、うかつに味見しない方がよさそう。

 お薦め度:★★★  対象:ヒトデが気になる人
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