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本の紹介「ヒルは木から落ちてこない。」

「ヒルは木から落ちてこない。 ぼくらのヤマビル研究記」樋口大良+子どもヤマビル研究会著、山と渓谷社、2021年9月、ISBN978-4-635-06308-1、1300円+税


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【中条武司 20220213】【公開用】
●「ヒルは木から落ちてこない。」樋口大良+子どもヤマビル研究会著、山と渓谷社

 山を歩く人にとって嫌われる生きものであるヤマビル。嫌われ者でたくさんいるなら、子どもたちの研究素材に適しているとはじまった「子どもヤマビル研究会」。ヒルの行動に関する実験や解剖を室内で、ヒルの分布の広げ方やタイトルになっているヒルは木からは落ちくるのかを野外での調査と、素朴な疑問を簡単でよくわかる研究で解き明かしていく。地質の違いによるヒルの分布についてはまだ研究途上なのかツッコミ不足な感もあるけど(個人的にはこれが知りたかったので)、全体によく調べたなあというのが実感。この本を読んでヒルの生態を知ればヒルがかわいらしく感じ・・・はしないな。

 お薦め度:★★★  対象:ヒルのせいで靴の中を鮮血に染めたことのある人
【西村寿雄 20220221】
●「ヒルは木から落ちてこない。」樋口大良+子どもヤマビル研究会著、山と渓谷社

 四日市市にある少年自然の家に集まった子どもたちが中心になって立ち上げた「子どもヤマビル研究会」の活動の様子が細かく書かれた本。ドキュメンタリー風に書かれていて読みやすい。初めはヒルにとまどっていた子どもたちは、次々とヤマビルの研究に没頭していく。子どもたちはヤマビルを集めたり飼ったりしてヤマビルの習性を次々と明らかにしていく。ヤマビルは木の上から落ちてくるものと今まで信じられていたが、よく観察してみると足元から登ってくることが世界初の実証実験で明らかにした。その他、解剖までしてくわしくヤマビルを観察したり、岩質によって山にいるヒルの多い少ないも発見したりする。ヤマビル研究の数々が書かれていて興味深い。

 お薦め度:★★★  対象:生物に興味のある子ども
【萩野哲 20220131】
●「ヒルは木から落ちてこない。」樋口大良+子どもヤマビル研究会著、山と渓谷社

 子供たちがヒルの謎を解いてゆく。ヒルは何に引き寄せられるのか、何が弱みなのか、どうしたらうまく解剖できるのか? わかったこと! ヒルは二酸化炭素と温度に引き寄せられる。塩に弱く、2%と3%の間で死ぬ。乾燥に弱い。ストッキングの上からは血を吸えない。生き血しか吸わない。絶食には強い。蜂の巣のような卵塊を産む。ヒルの体が頑丈なのは知ってるが、2kgで引っ張り、死んでもちぎれないらしい。シカはヒルをばらまいていない(移動と繁殖への寄与は違うだろうけど)。やっぱり、「 ヒルは木から落ちてこない」という発見がスゴい。でもヒルが木から落ちてくるという話の多いこと。本当に見た人はいるのだろうか?蛾の幼虫と間違えていないだろうか?虫屋が間違えるとは思えないけど?あっという間に足元から体の上まで登ってくるので木から落ちてきたと思っただけなのかなあ?本当にヒルが木から落ちてこないなら、それはそれは耳寄りな話だ。

 お薦め度:★★★  対象:ヤマヒルの正体を少しでも知りたい人
【和田岳 20220224】
●「ヒルは木から落ちてこない。」樋口大良+子どもヤマビル研究会著、山と渓谷社

 三重県の四日市少年自然の家で活動する子どもヤマビル研究会。小学生中心に、周辺にたくさん生息するヤマビルを題材にして、ヤマビルの謎の解明に取り組んでいく。
 ヒルは何に反応して寄ってくるのか? ヒルは木から落ちてくるのか? ヒルの心臓はどこにあるのか? シカが増えればヒルも増えるのか?
 研究の成果をイベントで発表するけど、先入観にこりかたまった大人たちは、なかなか納得してくれない。それに果敢に立ち向かう子ども達は、けっこう格好いい。

 お薦め度:★★★  対象:ヒルは木から落ちてくると思ってる人
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