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本の紹介「森に咲く銀色の花 ギンリョウソウ」

「森に咲く銀色の花 ギンリョウソウ」末次健司文写真・安斉俊絵、福音館書店たくさんのふしぎ2026年6月号、800円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。

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【冨永則子 20260827】【公開用】
●「森に咲く銀色の花 ギンリョウソウ」末次健司文写真・安斉俊絵、福音館書店たくさんのふしぎ2026年6月号

 ギンリョウソウ…日本では晩春から初夏にかけて、どんぐりの木や松の木が生える森の地面から、ひっそりと顔を出す白銀色に輝く不思議な植物。小さな竜のような姿は神秘的。
 前作「「植物」をやめた植物たち」で、光合成をやめた菌従属栄養植物を紹介した著者がギンリョウソウと出会った子どもの頃から植物学者になるまでを語る。新種記載に至るまでの道のりを通して研究とはなにか?分類学とはなにか?と理解を進める。身近な草や木をいつもより少しだけじっくり観察してみることから“研究”が始まることに気づけばいいな。合わせて、標本の大切さも改めて感じた。

 お薦め度:★★★★  対象:不思議な植物に興味がある人に
【犬伏エルリッヒ健太郎 20260828】
●「森に咲く銀色の花 ギンリョウソウ」末次健司文写真・安斉俊絵、福音館書店たくさんのふしぎ2026年6月号

 本書は、フィールドワークを大切にしている筆者が子供のころにギンリョウソウと出会ってから植物学者になるまでの道のりをギンリョウソウを通して写真や絵入りでわかりやすく書かれています。始めは、ギンリョウソウについて、それからギンリョウソウの仲間「キリシマギンリョウソウ」を発見し、さいごは新種として記載されるまでの道のりについてです。ギンリョウソウの仲間は、光合成を行わずにキノコの菌糸を分解して栄養として吸収する少し不思議な植物です。ぜひ、身の回りの草や木をいつもより少しだけじっくりと観察してみてください。

 お薦め度:★★★  対象:新種のことやギンリョウソウに興味のある方々へ
【里井敬 20260827】
●「森に咲く銀色の花 ギンリョウソウ」末次健司文写真・安斉俊絵、福音館書店たくさんのふしぎ2026年6月号

 葉緑素を持たないギンリョウソウは、ワラジムシなどの虫に種子を運んでもらい、菌類から栄養をもらっています。ギンリョウソウはずっと1属1種と思われていましたが、霧島でみつけた赤いギンリョウソウは、花の咲く時期が普通の銀白色のものより1ヶ月も遅く、DNAは全く異なり中間型もなく交配していないことが分かりました。また、地下部の長さや根が違い、寄生する菌の種類も異なります。ギンリョウソウの品種である佐渡のアカバナギンリョウソウや、世界中のどのギンリョウソウとも異なることから、新種のキリシマギンリョウソウと認められました。

 お薦め度:★★★  対象:ギンリョウソウの新種発見に興味がある人
【西村寿雄 20260815】
●「森に咲く銀色の花 ギンリョウソウ」末次健司文写真・安斉俊絵、福音館書店たくさんのふしぎ2026年6月号

 著者は、以前にも『「植物」をやめた植物たち』(たくさんのふしぎ)を出している。この本にはギンリョウソウの話がくわしく出てくる。ギンリョウソウの元の植物ツバキとは、不思議な植物だ。
 今回はギンリョウソウの新種を発見した経緯をもとに著者の研究歴や新種発見の面白さ、命名する時の複雑さまで書いている。まず最初にギンリョウソウとはどういう植物か。あまり見かけないが里山の陰地によく出ている10cmほどの白い筒状の植物である。光合成をやめているので色は白くて目立たない。この植物は栄養はどこから得ているのだろうかなど興味深い内容も多い。あわせていろんな植物の新種発見のおもしろさも語っている。

 お薦め度:★★★★  対象:植物好きの小学生から
【萩野哲 20260814】
●「森に咲く銀色の花 ギンリョウソウ」末次健司文写真・安斉俊絵、福音館書店たくさんのふしぎ2026年6月号

 長い間世界で1種と考えられていたギンリョウソウ。でも、見た目は様々。その中で、霧島で見つけた赤いギンリョウソウは花が咲く時期も違っていた。これでも同種?そこで、花の形や花粉を運ぶ昆虫を調べたが違いはない。しかし、根に住む菌類を調べると明らかに異なっていた。更に、世界中のギンリョウソウを調べ、霧島のものが独特であることがわかり、新種キリシマギンリョウソウとして記載した。と、簡単そうに書かれているが、この記載には20年の歳月を要している。新種は私たちの身の回りに隠れている。著者は本書で新種発見の大変さと醍醐味を語る。

 お薦め度:★★★  対象:新種発見の醍醐味を知りたい人
【橋本元文 20260827】
●「森に咲く銀色の花 ギンリョウソウ」末次健司文写真・安斉俊絵、福音館書店たくさんのふしぎ2026年6月号

 分類学についての丁寧な解説と、キリシマギンリョウソウが新種として認められるまでの過程が平易に描かれています。身近な植物であっても、実は新種だったりするかもしれない。自分が目を向けられていないだけで未知はそこら中にたくさんある、という事実。ロマンチックだと思いませんか?

 お薦め度:★★★★  対象:新種を見つける、未知を解明することにロマンスを感じるバイタリティ溢れる方に
【和田岳 20260828】
●「森に咲く銀色の花 ギンリョウソウ」末次健司文写真・安斉俊絵、福音館書店たくさんのふしぎ2026年6月号

 ギンリョウソウの紹介から始まり、光合成をやめた植物に話が広がり、分類学を紹介しつつ、キリシマギンリョウソウの記載に向けての研究が紹介されます。
 ギンリョウソウの紹介は、おもにワラジムシによる種子散布と従属栄養のこと。菌糸を呼び寄せて、キノコを食べて暮らしているという表現が印象的。キリシマギンリョウソウの記載に向けての研究は、ギンリョウソウとの比較。花粉媒介者、地下部の形態、根に棲む菌類、花期、そしてDNAと多岐にわたります。おかげでギンリョウソウとの違いがよく判るという仕掛。
 ムジナノショクダイやハチジョウネジバナといった他の新種発見、ムラサキムヨウランやクモランの分類の整理といった話題も紹介されます。途中のよくまとまった分類学の解説とあわせて、分類学の面白さを伝える良書になっていると思います 。

 お薦め度:★★★★  対象:植物好き、または分類学に少し興味のある人
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