友の会読書サークルBooks

本の紹介「ドリアン」

「ドリアン 果物の王」塚谷裕一著、中公新書、2006年10月、ISBN4-12-101870-2、980円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。

[トップページ][本の紹介][会合の記録]


【釋知恵子 20070223】【公開用】
●「ドリアン」塚谷裕一著、中公新書

 「生のハンバーグ」、これが ドリアンを初めて食べたときの感想。その時は、完璧な表現と思った。でも、この本を読んで、私がドリアンとの出会いに失敗していたことが分かった。熟して、食べ時のドリアンは濃厚でねっとりと甘いらしい。この味に魅了されている著者は、この本の中で、おいしいドリアンの見分け方や、買い方まで指南してくれる。植物としてのドリアンがどんなものか、日本でのドリアン史まで語ってくれる。この本を読んで、おいしいドリアンを食べていない自分が、とても損しているような気分になった。

 お薦め度:★★★  対象:果物の王ドリアンを知っている人ならだれでも

【魚住敏治 20070222】
●「ドリアン」塚谷裕一著、中公新書

 まず最初に、私はドリアンが好きです。ということで、読んでいて楽しい本ですが、それだけはありません。ドリアンがいかに世間で誤解されているかがよくわかります。
 あなたがもしすこしでもドリアンに興味があれば、この本を読めば正しい買い方、食べ方からドリアンを含めて、熱帯の果物の植物学的におもしろい特徴も勉強することができます。
 第4章の『ドリアンの果物史』の日本での東南アジアの果物普及の解釈については、色々の意見があると思いますし、すこし濃いかなとも思いますが、とりあえずこの一冊があれば友人にドリアンについて語ることができますよ。

 お薦め度:★★★  対象:ドリアンは臭いと思っている方

【加納康嗣 20070127】
●「ドリアン」塚谷裕一著、中公新書

 なじみがないが憧れの果物である。ドリアンのうま味の秘密、種類や成分などその生物学が語られる。興味を誘われる魅惑的な果物である。しかし、こんな興味も一度でも食べることができれば多くのことは理解し、好きになるにしろ嫌になるにしろあっさり解決してしまいそうに思えるが、そうは問屋が卸さないらしい。それほど奥深い。何せ1冊の本ができあがるほどだ。日本人の果物の嗜好性の歴史をたどるところも面白い。戦前東南アジアに侵攻を目指したせいか、熱帯果物への関心や知識は高かったが、戦後一変に忘れてしまし、アメリカナイズされ、グレープフルーツに象徴されるように酸味の高い欧米嗜好の果物や、アメリカの影響の強いフィリピンやエクアドル産の味ないバナナに馴らされてしまった。小さく皮の薄いピサン・マスのうま味を知ったら、日本で市販されている今のバナナは食えないらしい。ようやく最近になって南国の果物に接する機会が増え、マンゴスチンや濃厚なマンゴーが好きな人が増え始めている。ちなみに私はこの2つの果物は大好きである。

 お薦め度:★★★  対象:植物学に少し関心があって、食い気の高い人

【萩野哲 20070219】
●「ドリアン」塚谷裕一著、中公新書

 果物の王と言われながら、とかく日本人の間では“臭いらしいからなあ”と東南アジアに行っても(行ってないけど)敬遠されているらしいドリアン。本書はその否定から始まり、ドリアンの品種や栽培法、いろいろな食べ方までコンパクトに収められており、読後に“ドリアン食べてみたいなあ”と思わせる仕上がりとなっている。また、“果物史”として、戦前日本の熱帯アジアとの関わりについて触れられているのも本書の奥行きを深くしている。

 お薦め度:★★★  対象:好奇心旺盛な人

【和田岳 20070220】
●「ドリアン」塚谷裕一著、中公新書

 東南アジアに行きたい。ドリアンを食べに行きたい。でも、そんな暇はないから、とりあえずこの本を持って、デパートの果物売り場に行ってみようかな。
 ドリアンのおいしさと、おいしいドリアンの選び方から始まり、ドリアンの育て方、野生のドリアンの紹介、ドリアンをはじめとする東南アジアの果物の日本での歴史、そして色々な食べ方、香りの正体が紹介される。これを読めば、一度ドリアンを食べてみたくなるのは間違いない。
 ドリアンは臭くない、実はおいしい果物であるということを知らしめようとする普及書ならぬ、布教書。見事に帰依させられたかもしれない。

 お薦め度:★★★  対象:ドリアンってあの臭い果物〜?と思ってる人

[トップページ][本の紹介][会合の記録]